研究実績の概要 |
細胞外マトリックスは従来静的な高次分子構造と考えられていたが、プロテアーゼによるプロセシングを介して、その分子形態や生物活性をダイナミックに変化させ、血管新生や組織形態形成、それらに関わる疾患や再生等多くの生命現象で重要な役割を担っている。申請者らは新規ECM分子としてフィビュリン-7(fibulin-7/Fbln7)を同定し、細胞に直接作用する細胞接着分子として機能していることを報告した(de Vega et al., 2007, J. Biol. Chem.)。さらにFbln7が非血管組織(軟骨組織等)に発現しており、Fbln7由来フラグメントが血管新生阻害活性を有していることを見出し報告した(de Vega et al. Arch Biochem Biophys. 2014,)。本研究では、Fbln7の抗血管新生活性に注目して、生体組織でのプロセシング解析とその生成物であるフラグメントの同定、さらにその分子作用メカニズムを解明して、新規治療薬としての可能性を検討し応用を目指した。近年血管内皮細胞増殖因子VEGFシグナルに着目した創薬が複数開発されているが、安全性や効力には未だ問題点もあり、ニーズの多様性に合わせた新たなシーズの創出が望まれている。本研究申請では、このような背景のもと悪性腫瘍、加齢性黄斑症のような血管新生が関与する疾患に注目し、創薬シーズの創出を目指した。
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