研究概要 |
本研究の主要な要素である、新設計のTiS、20TW級(30fs,600mJ)の立ち上げを継続し、目標値の達成を確認した。レーザー物性の評価として特にコントラスト比に留意し、二次及び三次の相関、フーリエ分解分光系(FROG)により、発振段で10^<-8>のコントラストを測定する事が出来た。軟X線レーザー、高次高調波実験に用いる主チェンバー及び分光測定系の設計制作を行い、実験を開始した。 サブシステムである10HzTW級TiSレーザー(100fs,100mJ)のコントラスト比等の特性の改善を行い、コントラスト比10^<-5>を得た。 小型TW, Tisレーザーによる100fs級での高調波発生実験を進め、コントラストに特に鋭敏な固体ターゲットによるコヒーレントXUV高調波発生の研究を進めた。20mJレベルの300psサブパルス生成による金属ターゲットプラズマ中に主パルス10mJ,100-150fs、を打ち込む縦型スキームによりボロンBターゲットにより63次-65次(63次は12.6nm)におよぶ、'短波長の高品質の高次高調波を観測した。同時に、P偏光およびS偏光で強く生成され円偏光では消失する事、生成された高調波は10^<-4>程度のショルダーと10^<-6>〜10^<-7>のプラトー及び高エネルギー側のカットオフよりなり、空間指向性も0.2mradときわめて高い事も観測した。これらは希ガスにおける高次高調波生成のメカニズムとよく合致しており、固体生成の高密度プラズマによるコヒーレントな高次高調波としてははじめての観測である。又、銀Agでは10倍強度、高調波が強くなりプラズモンによる共鳴効果である事、特にインジウム(In)ターゲットでは13次だけが特異的に2桁強度に強くなり、ほぼ完全にモノクロマティックになる事、そのメカニズムは長い間期待されながら見出されなかった高励起状態における共鳴効果である事を、初めて確認した。又、励起レーザーのTiS波長を770-800nmまで変化させ、異なった次数における生成強度が共鳴効果により変化する事を見出した。これらはコヒーレント軟X線生成の一つのブレークスルーと考えられる。これらにより、高次高調波の高度化、軟X線レーザーへの応用に踏み出す事が出来たと考えている。 これらの成果を基に軟X線レーザーと高次高調波の融合効果の研究を開始した。
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