研究課題/領域番号 |
14GS0206
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
黒田 寛人 東京大学, 物性研究所, 助教授 (30126049)
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研究分担者 |
馬場 基芳 東京大学, 物性研究所, 助手 (60159077)
青木 尊之 東京工業大学, 学術国際情報センター, 教授 (00184036)
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キーワード | 軟X線レーザー / コヒーレント軟X線 / 高次高調波 / レーザープラズマ / 高出力チタンサファイヤレーザー / 共鳴効果 / 縦型励起方式 / フェムト秒レーザー |
研究概要 |
本研究の主要な課題である軟X線レーザーと高次高調波による高輝度、高効率なコヒーレント軟X線の生成の実験および理論的研究を前年度に引き続き、発展させた。重要なレーザーシステムである20TW,30fs級レーザーの諸パラメーターの測定を継続して行い、測定パラメーターの制御に特に有効なものとして、音響型位相変調器(AOPDF)による、スペクトルおよび位相制御が、有効な制御因子として働く事を実測確認した。よりスペクトル幅を広げ、パルス幅、位相の制御に重要なサブ10fs(〜8fs)級の発振段の制御を目的に、シミュレーションと設計を進めた。水の窓4.3nm域を念頭に置いた短波長化として有力と考えられる、固体ターゲットによる、アベレーション高次高調波(固体そのものではなく、表面に制御生成されたプラズマプルームを用いる)の研究をさらに進めた。 その結果、ボロンBプラズマにおいて65次(12.24nm)までの高輝度高調波が実測され、短波長側のカットオフがアイオニゼーションポテンシャルとポンデロモーティブポテンシャルとよばれるレーザー強度Iおよびλ^2に比例するモデルにより一部は説明できることを明らかにした。 現在短波長化の制限は、生成されたプラズマに主パルスが照射された直後からの電子、および1価〜2価へのイオン化、電子とイオンの衝突による位相のモジュレーション、それにより誘起される主パルスの伝播におけるセルフフォーカシングおよびデフラクションによると考えられる。 現在この影響を制御し、後4倍程度レーザーの有効強度を高める事により水の窓への短波長化の実現を目指して研究を遂行している。新しく見出されたInの13次高調波61nmの異常増強と共鳴効果との関連の研究も、鍵となる技術ブレークスルーであり、コヒーレンスの測定と共に、研究を続行した。 ナノ構造のリアルタイム軟X線コヒーレントイメージング実験を開始するための興味深いサンプルとして、フェムト秒レーザーによるナノマテリアル、ナノグレーティングの製成の研究も進行し、主たる応用と考えられるイメージング研究の予備実験を進めた。
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