| 研究概要 |
本研究では,(1)広いスペクトル領域における高性能面発光レーザとその極限性能追求,(2)面発光レーザの波長制御技術の開拓と大規模な2次元集積化,(3)3次元集積化による大規模集積化波長ルーティング回路,の3項目のデバイス研究を中核とし,これらのデバイスを結集して超高速光ネットワークへの応用と新しいシステムコンセプトの創成を目指して,研究を進めた.具体的な研究成果は,以下の通りである.
テラビット級大容量の光データリンクの実現を目指して研究を進め,高歪GaInAs/GaAs量子井戸による120Onm帯長波長帯面発光レーザの性能向上をさらに進め,高密度に集積した波長掃引機能を有する面発光レーザを製作して,その波長可変特性と掃引速度を明らかにした.また,面発光レーザを高速光信号処理デバイスへと新たに展開できることを見出し,高速偏波面制御や光非線形補償デバイスなどの新機能集積について検討して,不規則に変動する入射光の高速偏光制御や,巨大非線形位相シフトなどを発現できることを実証した.さらに,金属ナノ構造による偏光・横モード制御の新構造を提案し,その効果実証と巨大パワー密度の光近接場生成などのナノ光デバイスの可能性を示した.また,垂直共振器である面発光レーザと水平方向へと発展させた中空光導波路による新しい光集積回路を創案し,超小型の光結合回路など,興味深い知見が得られた.
一方,集積化Add/Drop波長フィルタとして國分らが開発した積層マイクロリング共振器フィルタについては,高次直列結合フィルタの個々の共振波長を熱光学効果によって個別にチューニングすることによって,波長チューニング時に他の波長チャネルを遮断しないヒットレス波長選択スイッチと呼ぶ新機能デバイスを実証した.また,中心波長の新しい温度無依存化技術として,応力分布制御による中心波長の温度無依存化法も開発した.
|
