研究課題/領域番号 |
14GS0308
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
豊島 近 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 教授 (70172210)
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研究分担者 |
木寺 詔紀 横浜市立大学, 大学院・総合理学研究科, 教授 (00186280)
津田 岳夫 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 助手 (10345233)
杉田 有冶 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 講師 (80311190)
鈴木 裕 旭川医科大学, 医学部, 教授 (50183421)
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キーワード | 生物物理 / 能動輸送 / 膜蛋白質 / イオンポンプ / X線結晶解析 / ATPase |
研究概要 |
本研究の目標の第1は筋小胞体カルシウムATPaseのすべての中間状態の構造を決定することである。この目標に向けて本年度新たにE1ATPとE1P・ADP状態のアナログの結晶化に成功した。SPring-8でのデータ収集の結果、それぞれ2.8Å、3.1Å分解能でのデータが集まった。しかし、分子置換法での解析からは解が得られず、重原子置換体の作製を試みている。一方、強力阻害剤であるタプシガーギンで安定化したE2(TG)状態に関しては、3.1Åでの解析を終了し、Natureに発表した。この論文はNews and Viewsでも単独紹介されるなど高い評価を得た。この結果から、カルシウムの放出にあたっては膜貫通ヘリックスがピストン様の運動をしていること、それを駆動している熱運動の重要性等が明らかになった。また、E2P状態での構造に関しては、高分解能(2.5Å)の結晶を得ることに成功し、分子置換法による解も求まった。モデルの精密化も順調に進行しており、2003年中には発表できるであろう。もう一つの目標は分子動力学計算による構造変化の理解である。これは予想よりもずっと速く進展し、脂質二重膜や水分子等も含む、full atomの計算を5ナノ秒程度までは容易に遂行できるようになった。脂質二重膜に埋めただけでも多くの新しい知見が得られ、脂質の重要性が明らかになった。現在はE2状態の構造を計算中であるが、E1状態の計算に向けて準備を進めている。第3の目標である重金属ポンプへの展開に関しては、亜鉛ポンプの発現系を構築し大量生産にも成功している。
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