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2002 年度 実績報告書

生物形態形成の多様性と普偏性

研究課題

研究課題/領域番号 14GS0319
研究機関奈良先端科学技術大学院大学

研究代表者

小椋 利彦  奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助教授 (60273851)

キーワードTbx / 肢芽 / 心臓 / Irx / 小脳
研究概要

1)Tbx遺伝子による肢芽誘導
Tbx5、Tbx4遺伝子はそれぞれ上肢、下肢のidentityを決定しているが、その後の研究により肢芽形成のinitiatorそのものであることがわかった。Dominant negatibve型のTbx遺伝子を強制発現させると肢芽が完全に消失し、Tbx5、Tbx4遺伝子を体幹部に発現させるとそれぞれ上肢と下肢が誘導された。このとき、これまで肢芽の形成に重要であると言われてきたWnt、Fgf遺伝子群が発現誘導されることから、肢芽形成の最も初期に働く遺伝子あると結論できる。
2)Tbx2、Tbx3遺伝子による指の形成
Tbx2、Tbx3遺伝子は指の形成時にニワトリ脚のdigit IV、IIIに発現する。Tbx2の強制発現はdigit IIIをIVに、Tbx3強制発現はdigit IIをIIIに形態転換させる。したがって、肢芽前後軸に沿って違った形の指がいかに作られるかを知る上で、きわめて重要な知見を得ることが出来た。
3)Tbx5、Tbx20遺伝子と心臓発生、進化
本年度の研究から、Tbx5が左心室に、Tbx20が右心室に発現していることがわかった。心室中隔は、両遺伝子の発現境界に形成される。このことはTbx5、Tbx20の働きで心室が二分し、心室中隔によって2心房2心室の形態を作り上げて居ることを示している。一方、魚類(ゼブラフィッシュ)ではTbx5、Tbx20遺伝子の発現は明瞭な境界を形成しない。また、ニワトリやマウスで見られる心房における発現も認められなかった。1心房1心室の心臓をもつ魚類と鳥類、哺乳類の心臓形態の発生と進化がどのようにして起こったのかを解明する重要な糸口となった。
4)Irx2遺伝子と小脳発生
Irx遺伝子群は6つの遺伝子から構成されているが、このなかでIrx2がrhombic lipに強く発現していることがわかった。詳細な解析の結果isthmusからのFFG8/MAP kinaseによりIrx2にリン酸化がおこり、転写抑制因子から転写活性化因子に変化することが見いだされた。そして、このリン酸化された転写活性化型Irx2が直接小脳形成を誘導することが明らかとなり、ハエからヒトに普遍的に存在するIrx遺伝子の機能に関して重要な知見を得ることが出来た。

  • 研究成果

    (5件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (5件)

  • [文献書誌] Toshihiko Ogura: "In vivo electroporation : a new frontier for gene delivery and embryology"Differentiation. 70(4-5). 163 (2002)

  • [文献書誌] Rui Sakuma et al.: "Inhibition of Nodal signaling by Lefty mediated through interaction with common receptors and efficient diffusion"Genes to Cells. 7(4). 401 (2002)

  • [文献書誌] Daisuke Kobayashi et al.: "Early Subdivisions in the Neural Plate Define Distinct Competence for Inductive Signals"Development. 129. 83 (2002)

  • [文献書誌] Jun K.Takeuchi et al.: "Tbx5 and Tbx4 trigger limb initiation through activation of the WNT/FGF signaling cascade"Development. (in press).

  • [文献書誌] 小椋 利彦: "Tbx遺伝子と肢芽形成誘導"整形・災害外科. 43(1). 2 (2003)

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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