研究概要 |
(1)野生型個体では、FWA遺伝子が胚乳特異的かつインプリントされた発現をすること、これは維持型DNAメチンレ化酵素遺伝子METIおよびDNAグリコシラーゼ遺伝子DEMETERによって制御されていることを明らかにできた(Science303,521-)。さらに、FTが花成誘導因子であること(Science309,1052-)、FWAは、このFTの活性を蛋白質レベルで阻害することによって花成に影響することがわかった(PlantCell Physiol 48,205-)。また、別のインプリント遺伝子FIS2もDNAメチル化による制御を受けていた(Plant Ce1118,1360-)。 (2)転移因子CACTAは野生型では転移が抑制されているが、CGメチル化酵素遺伝子METIと非CGメチル化酵素CMT3の二重突然変異下で高頻度に転移した。DNヘメチル化がこのトランスポゾンの転移抑制に働いていることがわかる(Curr Biol 13,421-)。 (3)クロマチン関連遺伝子の突然変異、およびRNAiに必要な遺伝子の突然変異体でCACTA因子の活性を調べた結果、ddm1以外に、CGメチル化酵素遺伝子MET1およびクロマチン集合因子FASの突然変異で転写誘導が観察された(Curr Biol 13,421-,Genes to Cells 18,153-)。Ddm1突然変異は、CACTA因子やセントロメア付近のヘテロクロマチン形成を解除し、この状態が野生型でも継承される(EMBO J.21,6549-)。この系を用いてヘテロクロマチンとユークロマチンへのCACTAトランスポゾンの転移を調べた結果、個々の転移はヘテロクロマチンヘターゲットされていないことがわかった。転移因子の蓄積によるヘテロクロマチン進化の機構を考える上で興味深い(Genetics 168,961-)。
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