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2014 年度 実績報告書

白血病やGVHDにおける新規のペア型免疫レセプターを標的とした治療法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 14J00014
研究機関北海道大学

研究代表者

松川 敏大  北海道大学, 医学研究科, 特別研究員(DC2)

研究期間 (年度) 2014-04-25 – 2016-03-31
キーワードマスト細胞 / 潰瘍性大腸炎 / P2X7 / ATP / DSS腸炎
研究実績の概要

潰瘍性大腸炎モデルであるデキストラン硫酸塩を用いたマウス腸炎(DSS腸炎)モデルでは、抑制型免疫レセプターであるLMIR3/CD300fの欠損によりDSS腸炎が増悪するという新しい知見を得た。キメラマウスなどの解析により、マスト細胞表面に発現するLMIR3の欠損により腸炎が増悪することが分かった。さらに、LMIR3はマスト細胞表面に発現するATP受容体のP2X7受容体のシグナルを抑制し、腸炎を抑制、制御している。野生型マウスに比べ、LMIR3欠損マウスの腸管内ではDSS腸炎により好中球などの炎症細胞やマスト細胞の増加が認められた。LMIR3変異体を作成し、LMIR3欠損マウス由来の骨髄から骨髄由来マスト細胞(BMMC)を誘導する際にLMIR3変異体を強制発現させ、ITIMとITSMに含まれるチロシン残基のリン酸化がP2X7受容体のシグナルを抑制する際には重要であることを突き止めた。BMMCをATPで刺激することにより、BMMCの活性化や炎症性サイトカインなどが産生される。野生型やLMIR3欠損マウス由来のBMMCはどちらも同量のATPで刺激を加えると、サイトカインなどの産生量に相違は見られないが、LMIR3の生理的なリガンドである細胞外脂質のセラミドをプレートに固相化させた状態でATPの刺激を加えると、野生型マウス由来のBMMCでのみ、BMMCの活性化は抑制され、LMIR3欠損マウス由来のBMMCでは抑制が認められなかった。LMIR3とリガンドのセラミドの結合がATP受容体を介したマスト細胞の活性化を抑制していることが明らかになった。マウスの腸管を免疫染色し観察したところ、定常状態のマウス腸管内ではセラミドの発現が認められ、DSSを投与し腸管内に炎症が引き起こると、セラミドが増加することが判明した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

GVHDとLMIR3の関連において腸管内におけるLMIR3の役割が判明してきている。炎症性腸疾患において腸管マスト細胞とその表面に発現するP2X7受容体との関連が本研究において判明した。腸管マスト細胞とGVHDの関連は既報で報告があり、LMIR3とGVHDにおいてもマスト細胞を介した制御機構が存在する可能性が高いと考えられる。

今後の研究の推進方策

腸管におけるLMIR3の役割が判明しつつあり、GVHDとの関連について検討を行う必要があると考える。さらに、白血病との関連については未だ検討が進んでいないため、白血病とLIR3との関連についても研究を進めていく必要があると考える。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2015 2014 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Ceramide-CD300f binding suppresses experimental colitis by inhibiting ATP-mediated mast cell activation.2015

    • 著者名/発表者名
      Matsukawa T, Izawa K, Isobe M, Takahashi M, Maehara A, Yamanishi Y, Kaitani A, Okumura K, Teshima T, Kitamura T, Kitaura J
    • 雑誌名

      Gut

      巻: 印刷中 ページ: 印刷中

    • DOI

      10.1136/gutjnl-2014-308900.

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [学会発表] LMIR3/CD300f deficiency aggravates DSS-induced colitis.2014

    • 著者名/発表者名
      松川敏大
    • 学会等名
      第43回日本免疫学会学術集会.
    • 発表場所
      京都国際会議場(京都市、京都府)
    • 年月日
      2014-12-14 – 2014-12-14
  • [学会発表] 抑制型免疫レセプターLMIR3/CD300fの欠損はDSS腸炎を増悪させる (LMIR3/CD300f deficiency aggravates DSS-induced colitis)2014

    • 著者名/発表者名
      松川敏大
    • 学会等名
      第37回日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜(横浜市、神奈川県)
    • 年月日
      2014-11-26 – 2014-11-26
  • [備考] 炎症性腸疾患の発症・進展を抑制する仕組みを解明

    • URL

      www.juntendo.ac.jp/graduate/

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公開日: 2016-06-01  

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