研究課題/領域番号 |
14J00015
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
植松 圭吾 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生物プロセス研究部門, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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キーワード | 社会性昆虫 / 社会性アブラムシ / 遺伝子発現 / 進化 |
研究実績の概要 |
第2年度はワタムシ族・Colophina属のクサボタンワタムシColophina armaの1次宿主世代を6月・7月に新たに採集することができたため、RNA抽出および遺伝子発現解析を行った。未だに1次宿主世代が発見できていないセンニンソウワタムシColophina clematicolaについては、雄虫と雌虫を人為的に交配させた後、卵から孵化した幹母からゴール誘導を試みたが、ゴール形成には至らなかった。 遺伝子発現解析に関しては、今年度新たに採集したクサボタンワタムシの1次宿主世代・2次宿主について、1次宿主世代は1齢幼虫・2齢幼虫・3齢または4齢の翅芽幼虫・無翅成虫から、2次宿主世代は兵隊1齢幼虫・普通1齢幼虫・3齢または4齢の翅芽幼虫・無翅成虫からtotalRNAを抽出し、cDNAライブラリーを調製し、基礎生物学研究所の次世代シーケンサーillumina Hiseqによって配列を明らかにした。その後、統計ソフトRを用いて、モルフごとの発現量の違いについて解析を行った。結果、複数種で共通して発現量を種内の各モルフで比較した結果、クサボタンワタムシ・ボタンヅルワタムシ・オバケワタムシいずれの種においても「1次宿主において、1齢幼虫が他モルフと有意に発現が異なる」遺伝子と「2次宿主において、1齢兵隊幼虫が他モルフと有意に発現が異なる」遺伝子は、ランダムに期待されるよりもはるかに高い共通性を示したことから、両者が共通の発生プログラムを持つことが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度に完了する予定だったColophina属のRNA-seq解析について、クサボタンワタムシについては採集を完了したが、センニンソウワタムシのゴール世代がまだ得られていないため、遺伝子発現の種間比較のデータがまだ不完全である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、センニンソウワタムシについても、1次宿主世代を入手次第、次世代シーケンサーによるcDNA配列決定と遺伝子発現の比較解析を行う予定である。モルフごとの遺伝子発現量を種間で比較し、1次宿主の1齢幼虫と2次宿主の兵隊幼虫における遺伝子発現量が外部形態の結果と相関した進化パターンを示すかどうか明らかにする。同時に、それらの遺伝子に起こった自然選択について分子進化解析を行う。
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