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2014 年度 実績報告書

体液恒常性維持に関わる神経回路機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 14J00037
研究機関総合研究大学院大学

研究代表者

松田 隆志  総合研究大学院大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC2)

キーワード脳弓下器官 / 恒常性 / アンジオテンシン / 高頻度逆行性レンチウイルス / 塩分摂取行動 / 遺伝子改変マウス
研究実績の概要

本研究は、体液恒常性維持における塩分摂取行動を制御する神経回路機構の全容を明らかにすることを目的とし、脳弓下器官(SFO)の神経細胞が構成する神経回路の役割や機能の解明に挑戦している。研究はレポーター分子をノックインしたマウス、高頻度逆行性レンチウイルスベクターなどの最新の遺伝子操作技術を用いて行っている。これまでの研究成果により、脳弓下器官-神経核Xの神経回路が塩分摂取制御を行っていることを示唆する知見を得た。具体的には、脳室内に投与することで塩分摂取を誘導することが知られているAngiotensin II(Ang II)の受容体であるAT1a receptorの遺伝子をloxP配列で挟み込んだAT1a-loxPマウスの神経核XにCreリコンビナーゼ(Cre)の遺伝子を組み込んだ高頻度逆行性レンチウイルス(LV-Cre)を注入した。神経核Xに投射する神経細胞においてCreを発現させ、この神経核に投射している神経細胞でのAT1a受容体の発現を抑制した。その結果、Cre遺伝子がSFOに効率よく輸送されたマウスほど、塩欠乏時における塩分摂取が抑制された(未発表データ)。この結果は、Ang IIがSFOのAT1a受容体を介して神経活動を誘導し、その活動が神経核Xに伝達されることで、塩欠乏に伴う塩分摂取を制御している可能性を示唆する。この研究成果の意義は、これまで明らかになっていなかった塩分摂取に関わる神経回路を解明し、その生理的役割を行動レベルで証明したことにある。本研究は、医学生理学上の基本事項に関わる神経回路機構を解明するという点において重要である。また、本研究で採用した様々な技術は、特定の神経回路の生理的役割を行動レベルで検証する手法として、今後、様々な脳機能を理解していくための重要な手段となるものであり、この点においても本研究は重要である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

本年度、当初計画どおり、SFOから神経核Xに投射するニューロンに選択的にAT1a受容体を欠損させることに成功し、その回路が塩欠乏時の塩分摂取行動の制御に必要であることを証明した。さらに、ATla受容体発現ニューロンが興奮性ニューロンであることなどを明らかにした他、来年度の計画であった光を用いた神経活動制御(オプトジェネティクス)の手法を用いた神経回路と行動をつなぐ研究を既に開始しており、当初の計画以上に進展していると言える。

今後の研究の推進方策

現在、計画申請時に予定していた光を用いて神経回路を人為的に操作する実験を進めている。また、同様に申請時に予定していた遺伝子改変マウスを用いて神経細胞の分類を行う実験、塩分摂取行動に対する体液ナトリウム濃度の影響を観察する実験は進めている最中である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2014

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] Identification of a neural circuit for salt-intake control2014

    • 著者名/発表者名
      松田隆志
    • 学会等名
      岡崎統合バイオサイエンスセンター リトリート
    • 発表場所
      愛知県岡崎市 岡崎カンファレンスセンター
    • 年月日
      2014-11-05

URL: 

公開日: 2016-06-01  

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