研究課題/領域番号 |
14J00072
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
櫻井 陽平 筑波大学, 大学院数理物質科学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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キーワード | 境界付きリーマン多様体 / 重み付きリッチ曲率 / 重み付きpラプラシアン |
研究実績の概要 |
本年度は昨年度に引き続き,境界付きリーマン多様体の剛性に関する研究を行った.重み付きリッチ曲率および境界の重み付き平均曲率が下に有界な境界付きリーマン多様体に対して,いくつかの剛性定理を得たので報告する. リッチ曲率および境界の平均曲率が下に有界な境界付きリーマン多様体に対して,これまで加須栄氏によりいくつかの剛性定理が得られていた.昨年度に実施した研究において,そのような境界付きリーマン多様体に対して,新たにいくつかの剛性定理を得た.本年度は,重み付きリッチ曲率および境界の重み付き平均曲率が下に有界な境界付きリーマン多様体に対して,これまで加須栄氏により得られていた剛性定理および昨年度に実施した研究において得られていた剛性定理をそれぞれ一般化した. 重み付きリッチ曲率および境界の重み付き平均曲率が下に有界な境界付きリーマン多様体に対して,内在半径の上限に関する剛性定理,境界の近傍の体積増大度に関する剛性定理およびある分裂定理を得た.さらに,境界付きリーマン多様体上の重み付きpラプラシアンに関して,そのディリクレ最小固有値の下限に関する剛性定理およびそのスペクトラムの下限に関する剛性定理を得た.ここで,重み付きpラプラシアンのディリクレ最小固有値の下限に関する剛性定理について,pが2でない場合の結果は,重みがない場合においても知られていなかった結果であることに注意する. 以上に述べた研究成果は,研究論文 Y. Sakurai, Rigidity of manifolds with boundary under a lower Bakry-E'mery Ricci curvature bound, arXiv preprint arXiv:1506.03223v2 (2015), submitted. として査読付き学術雑誌に投稿中の状態にある.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
重み付きリッチ曲率および境界の重み付き平均曲率が下に有界な境界付きリーマン多様体に対して,これまで重みがない場合に得られていた剛性定理を一般化することができた.また重み付きpラプラシアンのディリクレ最小固有値の下限に関する剛性定理のように,重みがない場合においても知られていなかった結果を得ることができ,境界付きリーマン多様体の剛性について新たな知見を得ることができた.これらの状況を踏まえて,研究はおおむね順調に進展していると判断した.
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今後の研究の推進方策 |
本年度に実施した研究においては,重み付きリッチ曲率の次元に関するパラメータが境界付きリーマン多様体の次元以上である場合を扱い,その場合にいくつかの剛性定理を得た.今後の研究の推進方策は,重み付きリッチ曲率の次元に関するパラメータが境界付きリーマン多様体の次元未満の場合に,本年度に実施した研究において得られた剛性定理等を拡張することである. 重み付きリッチ曲率および境界の重み付き平均曲率が下に有界な境界付きリーマン多様体に対して,重み付きリッチ曲率の次元に関するパラメータが1以下である場合に,本年度に実施した研究において得られた境界の近傍の体積増大度に関する剛性定理,分裂定理および重み付きpラプラシアンのディリクレ最小固有値の下限に関する剛性定理をそれぞれ拡張する.またその場合において,境界付きリーマン多様体の内在半径および境界の近傍の体積比に対して,その上からの評価を与える.さらに,重み付きpラプラシアンのディリクレ最小固有値に対して,その下からの評価を与える. 研究計画に記載していた,境界付きリーマン多様体の安定性および収束の研究も随時進める予定である.
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