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2014 年度 実績報告書

肝臓CREB3L3による栄養飢餓時のエネルギー代謝の解明と生活習慣病治療への応用

研究課題

研究課題/領域番号 14J00094
研究機関筑波大学

研究代表者

佐藤 葵  筑波大学, 人間総合科学研究科, 特別研究員(DC1)

研究期間 (年度) 2014-04-25 – 2017-03-31
キーワード肥満 / 糖尿病 / 分子生物学
研究実績の概要

活性化型CREB3L3をアデノウイルスの投与、および肝臓で高発現させたトランスジェニックマウスでは、インスリン感受性の増強、体重、血糖値、血中脂質が減少していた。これらの要因として、抗糖尿病効果が報告されているホルモンFGF21やIGFBP2が肝臓での遺伝子発現および血中濃度の増加によると示唆される。FGF21に関してはCREB3L3が直接プロモーター領域に作用するだけでなく、FGF21を制御することが知られている核内受容体であるPPARαと協調して制御いていることを明らかにし、Endocrinology 2014で報告している。さらに、インスリン感受性の増強においてはインスリンシグナルの検討をしたところ、肝臓でのインスリン受容体のリン酸化に差はないが、Aktのリン酸化が亢進していた。このことから、CREB3L3は肝臓でのインスリンシグナルカスケードをインスリン受容体以下の分子を制御していることが考えられる。また、トランスジェニックマウスでは酸素消費量(基礎代謝量)が増加しており、CREB3L3による抗肥満効果は基礎代謝量の増加によることが示唆される。これらの抗糖尿病、抗肥満効果がFGF21に起因するのか、トランスジェニックマウスとFGF21欠損マウスを交配し検討したところ、FGF21欠損トランスジェニックマウスでは基礎代謝の増加および抗肥満効果が解除された。このことからCREB3L3はFGF21を介して基礎代謝の増加および抗肥満効果を示したことが示唆される。一方で、FGF21欠損下においてもインスリン感受性の増強は観察された。これよりCREB3L3はFGF21とは独立した別の因子を介していることが考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究実績の概要にも記載したように、CREB3L3の機能についてEndocrinoology 2014に報告しており、CREB3L3トランスジェニックマウス及びCREB3L3ノックアウトマウスを用いた肥満・糖尿病モデルマウスでの解析も着実に進んでいる。CREB3L3の活性化を評価する方法も確立しつつあり、論文化にむけて順調に進展している。

今後の研究の推進方策

CREB3L3の抗肥満効果においてはFGF21が重要であることが明らかとなったので、今後は、FGF21がどの組織に作用しエネルギー消費の増加および抗肥満効果を示しているのかを明らかにし、そのメカニズムを明らかとする。また、インスリン感受性の増強作用に関しては、新たな因子を探索しそのメカニズムを明らかにする。また、各種糖尿病等の病態モデルマウスとトランスジェニックマウスの交配を進めており、順次解析を進めていく。さらに、CREB3L3の誘導および活性化メカニズムを明らかにし、それらを制御する因子および化合物の探索を行う。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2014 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Hepatic CREB3L3 Controls Whole-Body Energy Homeostasis and Improves Obesity and Diabetes2014

    • 著者名/発表者名
      Yoshimi Nakagawa,* Aoi Satoh,* Sachiko Yabe,* Mika Furusawa, Naoko Tokushige, Hitomi Tezuka, Motoki Mikami, Wakiko Iwata, Akiko Shingyouchi, Takashi Matsuzaka, Shiori Kiwata, Yuri Fujimoto, Yasushi Kawakami, Osamu Urayama, Nobuhiro Yamada, and Hitoshi Shimano et. al
    • 雑誌名

      Endocrinology

      巻: 155(12) ページ: 4706-4719

    • DOI

      http://dx.doi.org/10.1210/en.2014-1113

    • 査読あり
  • [学会発表] エネルギー代謝調節転写因子CREB3L3の機能2014

    • 著者名/発表者名
      佐藤葵、中川嘉、島野仁
    • 学会等名
      日本肥満学会
    • 発表場所
      シーガイアコンベンションセンター(宮崎県・宮崎市)
    • 年月日
      2014-10-24 – 2014-10-25
  • [学会発表] Hepatic CREB3L3 controls whole-body energy homeostasis and improves obesity and insulin resistance2014

    • 著者名/発表者名
      Aoi SATOH, Yoshimi NAKAGAWA, Takashi MATSUZAKA, Hitoshi IWASAKI, Kazuto KOBAYASHI, Shigeru YATOH, Naoya YAHAGI, Hiroaki SUZUKI, Nobuhiro YAMADA, Hitoshi SHIMANO
    • 学会等名
      Metabolic Syndrome, Type 2 Diabetes and Atherosclerosis Congress
    • 発表場所
      Kyoto International Conference Center (Sakyo-ku, Kyoto)
    • 年月日
      2014-09-12 – 2014-09-14
  • [備考] 筑波大学 内分泌代謝・糖尿病内科研究室ホームページ

    • URL

      http://www.u-tsukuba-endocrinology.jp/study/result/paper.html

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公開日: 2016-06-01  

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