研究課題/領域番号 |
14J00110
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
石田 智彦 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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キーワード | 微分同相群 / 面積保存微分同相群 / Calabi準同型 / 共役不変ノルム / 対称共役類 / 擬等長型 / Thompson群 / 単純群 |
研究実績の概要 |
単純群の非自明な対称共役類の集合には、各対称共役類の共役生成ノルムによって距離空間の構造が定まる。このような距離空間は2009年の論文で坪井により考案されたもので、考えている単純群が一様単純であることと誘導される距離空間が1点と擬等長になることが必要十分である。一様単純でない無限単純群で、対称共役類のなす距離空間の擬等長型が知られている例は無限交代群のみで、誘導される距離空間は半直線と擬等長になる。今回、2次元円板の面積保存微分同相群の交換子群の対称共役類のなす距離空間について調べ、この距離空間が半直線とは擬等長でないことを示した。また、類似の議論により、他のいくつかの偶数次元多様体についても、ハミルトニアン微分同相群の誘導する距離空間が半直線と擬等長でないことが従う。 また、他の無限単純群としてThompson群についても研究を行った。これまでにThompson群Fの交換子群が一様単純群であることは知られていたが、東大の加藤本子氏、青山学院大の松田能文氏と共同で、新たにThompson群TやV、更にBrinによって導入された高次元Thompson群も一様単純であることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
微分同相群の距離構造について分かっていることは極めて少ないが、その中で対称共役類のなす距離空間の擬等長型についての結果を得ることができた。おおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は2次元円板の面積保存微分同相群の交換子群について、その対称共役類のなす距離空間が半直線と擬等長でないことを明らかにした。この群は豊富に擬準同型を持ち、誘導される距離空間もかなり巨大な空間になることが予想される。どのような距離空間と擬等長で無いか、最終的にはどのような擬等長型を持つかを調べることが今後の課題である。
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