研究実績の概要 |
平成26年度は,ヒトの周期運動制御の神経基盤を明らかにするために脳波(EEG)と機能的核磁気共鳴画像法(fMRI)の同時計測手法を用いて研究を遂行した。被験者は右利き健常成人とし,0.25, 1, 2, 3, 4Hzの5条件の音刺激に応じて右手示指のtapping課題を実施させた。この課題の最中にEEG-fMRIの同時計測を実施した。また,tapping課題の成績も合わせて記録した。EEG-fMRI同時計測に加え,拡散テンソル画像,resting-state fMRIも記録した。平成26年度内で26名の被験者からデータを記録し,現在,fMRI,EEGそれぞれのデータを解析している最中である。fMRIの結果から運動周波数に依存して,動作肢と対側に位置する大脳皮質運動野,補足運動野,小脳,視床などの活動が増加する傾向が確認された。EEGに関してはMRI撮像由来及び心拍動のノイズ除去等の前処理を行っている段階である。今後は,fMRIのデータとEEGのデータを統合し,周期運動制御の神経基盤を明らかにする予定である。また,拡散テンソル画像を用いて運動野に関連する神経線維結合の度合いやresting-state fMRIを用いてsensorimotor networkの連結度合いの程度を明らかにし,tapping課題の成績の違いがこれらの因子で説明できるものか否かを合わせて検討する予定である。本研究は,脳卒中リハビリテーションなどで用いられる反復運動練習などの基礎となる知見となることが推察され,今後リハビリテーション分野等に応用することが出来ると考えられる。
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