研究課題
性ホルモンは生殖器官だけでなく肝臓疾病にも関わる可能性がある。近年増加する非アルコール性の肝臓疾患の発症に酸化ストレスの蓄積が関与することが知られており、申請者は、男性ホルモンであるアンドロゲンをヒト肝がん由来細胞に処理することで抗酸化タンパク質の発現を調節する転写因子(Nrf2)を負に制御することを見出している。本年度の研究において、アンドロゲンは、Nrf2の遺伝子レベルではなく、タンパク質の安定性を低下することでNrf2の発現量を減少し、抗酸化タンパク質であるヘムオキシゲナーゼ1の発現を抑制することを明らかにした。また、アンドロゲンはその古典的な受容体であるアンドロゲン受容体(AR)を介さずにGタンパク質共役型受容体と相互作用するGnα11を介してNrf2タンパク質の安定性の低下に寄与することを見出した。一方で、高脂肪・高スクロース食を摂取させ脂肪肝を誘発したマウスの肝臓ではコントロールのマウスの肝臓と比較しARの発現量が著しく増加していた。これらの結果から、肝臓においてアンドロゲンは、ARを依存的、非依存的に機能していることが示唆された。
2: おおむね順調に進展している
平成26年度に予定していた研究実施計画は順調に遂行できた。また、当初予想していた結果以外の結果も得られ、今後の新たな研究課題を見出すことができた。
平成27年度はアンドロゲンシグナルと異物代謝系の転写因子であるAhRとのクロストークを培養細胞レベルで解析する。さらに、平成28年度の実験に先立ち、非アルコール性肝臓疾患を誘発させたマウスモデルの作製に取りかかる。
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Journal of Nutritional Science and Vitaminology
巻: 60 ページ: 122-128
巻: 60 ページ: 276-282