研究課題/領域番号 |
14J00203
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
田中 貴 京都大学, 農学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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キーワード | ヨシ / 刈取り頻度 / 飼料価値 / 中国 / 富栄養化 / 窒素動態 |
研究実績の概要 |
本研究では、環境汚染が深刻な中国の耕地生態系(耕地-作物-家畜-大気・水域)における物質循環の回復による環境負荷の低減を最終目的としている。平成26年度は、中国西部内陸部の環境汚染が深刻な地域において環境負荷改善のために設置された人工湿地におけるヨシ群落の水質浄化能と、そのヨシの飼料化による物資循環の回復においての重要課題である刈取りしたヨシ地上部の飼料価値の季節変化を明らかにした。そして、最適な刈取り方法(時期・頻度)を水質浄化能と飼料価値の季節変化から総合的に検討した。 1)ヨシ群落における窒素動態の評価:昆明市内の異なる二箇所の人工湿地において、異なる頻度(年0-3回)の刈取り試験を今年度も継続して行い、植物体、底質、水を定期的に採取し、植物体の窒素吸収能、底質における窒素動態を定量的に分析し、ヨシ群落の刈取り時期と頻度がヨシ群落の窒素除去動態に及ぼす影響を評価した。また、ヨシ群落における窒素動態に対するリターの影響を評価するために昆明理工大学で栽培・作成した15N標識リターを人工湿地に添加した。 2)ヨシの飼料価値の評価:上記刈取り試験から得られた植物体飼料の収量と飼料成分を解析した結果、刈取り頻度の増加は、収量性と飼料価値を著しく向上できることを明らかとした。 3)ヨシ系統の収集と評価:水質浄化能や飼料価値の高いヨシを導入するために、今年度は中国西部内陸部の新たに20地点(雲南省、四川省、貴州省、重慶市など)からヨシ属の植物体を採取し、葉身からDNAを抽出した。初年度のサンプルも合わせて合計40点のサンプルを用いて、ハプロタイプ解析とAFLP解析を行い、遺伝的多様性の評価を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2地点の人工湿地のヨシ群落において、同位体希釈法による土壌培養と植物体の窒素分析を行ってきた。その結果から、窒素持ち出し量を増加させるための刈取りの必要性を確認できた。また、ヨシの収量性と飼料価値を両立させるための刈取り頻度の検討することができたことから、おおむね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
①ヨシのリターが介する窒素動態を明らかにするため、人工湿地に添加した15N標識リターの定期的なサンプリングと同位体分析を行う。 ②ヨシの多回刈りは次年度の生育に影響することが予想されたため、継続して人工湿地においてヨシ地上部と地下部の試料の採取と窒素分析を行う。
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