研究課題
富栄養化が進む中国雲南省最大の淡水湖、テン池では、湖岸植生帯の設置による水質浄化が試みられている。そこに栽植されたヨシの刈取りは、窒素・リン等の栄養塩類除去に貢献すると考えられているが、刈取りしたバイオマスの処理が問題となり実用化されていない。一方、流域外から持ち込まれる家畜飼料が、テン池への窒素負荷を増大させる主要因であると指摘されている。そこで、湖岸植生帯のヨシの飼料化により飼料自給率を向上させ系外からの窒素負荷量を抑えるため、本研究では、テン池の湖岸植生帯において、ヨシの収量・飼料価値を向上させる刈取り方法を検討すると共に、刈取りが湖岸植生帯での窒素除去能へ及ぼす影響を評価した。1)ヨシの刈取り再生後も出穂期までに収穫することを前提に、年3回刈取りが高いTDNを維持しながら総収穫量、窒素持ち出し量を最大化できる刈取方法であることを示した。2)広域分布種であるヨシは遺伝的多様性が高いとされることから、テン池を含む中国南西部の植生帯などから収集したヨシ属を対象に、ハプロタイプネットワークの作成とAFLP解析を実施した。推定した系統関係によると、中国南西部のヨシ属は、大きく熱帯型と温帯型に分類され、さらに主に4つのハプロタイプに分類された。3)ヨシ群落における窒素動態に対するリターの影響を評価するため、前年度に人工湿地に15N標識リターを添加したが、今年度はリター、植物体、そして、土壌試料を採取し、取り込まれた同位体量を測定した。添加から半年で、リター由来窒素の植物体による回収率は約1割で、底質表層にあるルートマットによる回収率は約2割であった。残る7割の窒素は水へ溶出したか、脱窒したものと推察された。以上より、これまで報告例が比較的少なかった中国における農業に起因する環境負荷の改善方策、すなわち湖岸植生帯での合理的なヨシの粗飼料生産の方策とその根拠を提示した。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Jounal of Environmental Management
巻: 187 ページ: 436-443
10.1016/j.jenvman.2016.11.008
Plant Systematics and Evolution
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
10.1007/s00606-017-1403-1
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