研究課題/領域番号 |
14J00217
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
野田 祐輔 横浜国立大学, 工学研究院, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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キーワード | ナノ炭素材料 / グラフェン / フラットバンド / 電極触媒 / 代替材料 / フラーレンポリマー / 熱伝導抑制 / 性能指数向上 |
研究実績の概要 |
レアメタル元素を伴わない新規機能性材料の提案に向けて、2種類の材料に注目した。1つ目は、グラフェン様ナノ炭素材料である。理想的なグラフェンのような炭素6員環だけでなく、5員環や7員環なども含む湾曲したグラフェンのモデルを作成し、電子状態計算を実行した。このとき、孤立8員環という特殊なパーツを持つグラフェンについて調べると、理想的なグラフェンの電子状態(Dirac電子)とは異なり、Fermi準位にフラットバンドと線形分散バンドが同時出現する特異な電子状態を示すことを発見した。更に、このフラットバンドが存在することで、Fermi準位での状態密度が急激に大きくなることも分かった。この特徴は白金表面の電子状態と類似し、このような湾曲グラフェンが燃料電池の電極触媒などで使われる貴金属の代替材料に成り得ることを示唆している。電極上での触媒反応を想定した水素・酸素解離吸着反応シミュレーションを実行し、少しずつ成果を獲得している。2つ目は、ピーナッツ型フラーレンポリマーである。カーボンナノチューブと同じような擬1次元構造の炭素材料であるが、7員環や8員環を含むことで正と負の曲率両方を持っている。7員環や8員環が各所に点在することで、フォノン散乱が抑制され、熱伝導が下がる。つまり、新規の熱電材料の候補と成り得る。熱伝導を厳密に評価するために、フォノン分散および熱伝導(熱コンダクタンス)の計算プログラムを作成し、ピーナッツ型フラーレンポリマーの熱伝導の数値計算を実行した。カーボンナノチューブと比べて、ピーナッツ型フラーレンポリマーの熱伝導が一段と下がることを確認した。このとき、性能指数の最大値は1.0となり、熱電材料実用化の目安と言われる1.0の値を導いた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究計画に記載した内容はほとんど実行し、研究成果を得ることが出来た。当初の計画には無かったフォノン計算プログラムの作成および熱伝導計算の実行については、急遽進展が見え、新たな研究成果を得る運びとなった。
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今後の研究の推進方策 |
グラフェンモデルについては、水素分子や酸素分子の解離吸着反応シミュレーションを実行し、解離吸着反応に対する活性化エネルギーを評価し、触媒機能性の有無について議論する。ピーナッツ型フラーレンポリマーについては、複雑な構造による熱伝導抑制を表現するために、長周期且つランダムな構造を持つフラーレンポリマーのモデルを作成し、電気伝導性および熱伝導性を評価し、熱電材料としての可能性について議論する。
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