研究実績の概要 |
コウモリの捕食行動時の飛行方向とパルス放射方向のダイナミクスを数理的に研究した。 これまでに取り組んできた飛行方向に関する研究成果(I. Aihara et al., PLOS ONE, 2013)を拡張し、飛行方向とパルス放射方向の変化を記述する数理モデルを提案した。具体的には、コウモリが四方を壁に囲まれた空間で飛行する状況を考え、壁からの距離と角度に応じて飛行方向とパルス放射方向を変化させると仮定した。この数理モデルを解析し、実験的に観測された八の字型飛行経路とパルスの放射特性を再現した。この研究成果は、査読付学術論文としてIEICE Nonlinear Theory and Its Applicationから出版された。また、野外でのコウモリの捕食行動をマイクロフォンアレイにより計測し、その際の探索範囲を記述する数理モデルを研究した成果が、査読付学術論文としてJournal of the Acoustical Society of Americaから出版された。 一方で、コウモリを初めとする夜行性動物の野外での音響計測には技術的な課題が多い。そこで、様々な動物の音響計測への応用が期待される、マイクロフォンアレイシステム、音声可視化システム、時系列データ解析法に関する研究を進めた。これらの計測技術の応用可能性を広く検討するために、種々の学会・研究会に参加し、研究発表および情報収集を行った。
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