研究課題/領域番号 |
14J00269
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
松枝 佳奈 東京大学, 総合文化研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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キーワード | 調査研究 / ロシア / 比較文学 / 比較文化 / 日露文化交渉史 |
研究実績の概要 |
当該年度の4月から9月にかけて、国立国会図書館や東京大学附属図書館などにて、二葉亭四迷や大庭柯公と日本の初期社会主義思想、ロシアの社会主義思想・革命思想との関係について先行研究を調査し、二葉亭、大庭の執筆したテクストの分析を試みた。彼らの社会主義思想が他の同時代人たちの初期社会主義思想と異なる位相にあり、そこにロシアの社会主義思想が関係していたことを確認した。さらに19世紀末から20世紀初頭のイギリスにおけるロシア研究の関連文献を調査し、それが日本を含むその他の国のロシア研究にも少なからぬ影響を与えていたと考察するに至った。 2014年10月より、モスクワのロシア国立人文大学東洋文化・古代文化研究所にて研究指導委託を受けている(~2015年7月)。その結果、2015年2月に開催されたロシア国立人文大学主催第17回「日本の歴史と文化」研究発表大会にて、ロシア語で口頭発表を行い、その内容に基づくロシア語論文を執筆し、同研究所紀要に投稿予定である。二葉亭四迷によるロシア語新聞雑誌翻訳紹介とロシア研究者としての活動を考察するため、『大阪朝日新聞』に掲載された彼の翻訳紹介記事と、『オスヴォボジヂェーニエ』誌掲載原文記事のテクスト比較分析を試みた。その結果、二葉亭が原文のニュアンスを伝えるために大胆な意訳を施したのみならず、読者にとって有益な戦況の知識や情報を積極的に提供しようとしていたことが明らかになった。 その他、ロシア・モスクワの国立図書館及び同図書館学位論文・新聞部、国立公文書館、国立社会政治公文書館、ならびにサンクトペテルブルグの国立図書館にて、二葉亭や大庭ら日本人ロシア研究者たちに関するロシア滞在の記録や新聞雑誌記事、彼らが関わったロシアの知識人たちの著作・先行研究を入手し、考察した。その結果、これまで先行研究で言及されてこなかった数多くの史料やテクストの存在が判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究指導委託先のロシア・モスクワにてロシア語による口頭発表ならびに論文投稿を行ったほか、日本国内で最も重要な学会誌における査読付き論文が掲載されるなど、目に見える研究成果が多く得られた上、国内外での文献資料調査も当初の計画以上に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
当該年度に国内外で行った文献資料調査の結果とそれによって得られた考察を、次年度に国際学会・国内学会・研究会の計3回の口頭発表、ならびに所属研究科の発行する紀要への査読付き論文の投稿により、具体的な研究成果として公表していく所存である。
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