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本研究は、大脳皮質の領野および脳回形成において細胞構築が変化する過程に注目している。発生期において均一で平坦な大脳皮質から層の厚みや細胞種が異なる領野や皮質が湾曲した脳回が作り出される。このときに起こっている現象を解明し、またそれを引き起こす外的要因を同定することを目的とした。
平成２７年度には、第一に、領野形成時に起こる現象として領域特異的なニューロンの移動や運命転換の有無を検討した。感覚野第４層ニューロンのライブイメージングにより領野形成前後での細胞分布を変化を観察した結果、領野をまたいで移動するニューロンは見られなかった。また視床軸索を除去したマウスにおける層マーカーの免疫染色から、第2/3層や第5層マーカーの発現は大きく変化していないことがわかった。一方、大脳皮質外から侵入してくる細胞種についても発現解析を行い、領野形成への関与を示唆する結果を得たため、現在その役割を解析中である。今後はこれに加えて、入力線維依存的な領野層形成の分子メカニズムに関しても解析を進める。
第二に、脳回形成を制御する要因を同定するため、これまでに同定した脳回局在因子の脳回形成における役割の解析を行った。モルモット胎児に対する除去手術を行い、生後脳回がおおむね形成された時期に解析したところ、脳溝パターンが著しく乱れたサンプルが複数得られたことから、脳回形成に関与していることが示唆された。今後はより特異的に因子を操作したときの脳回・脳溝形成の変化を調べる。
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