研究課題
人が1日に使える時間は有限であり,その内訳である各行動は相互依存的に配分される.最近,この相互依存性を考慮した解析手法「isotemporal substitution(IS)モデル」の有益性が示されている.しかし,わが国でISモデルを適用した論文や解説は皆無である.そこで,このISモデルをわが国に初めて導入し,座位行動や身体活動と循環器系疾患リスクとの関連を検証した.対象者は,減量支援プログラムの効果を検証する3つのランダム化比較試験(UMIN000001259; UMIN000010505; UMIN000014428)に参加した肥満者436人(男性114人)であった.対象者は,2週間,入浴を除く覚醒時に3軸加速度計(Active style Pro,オムロンヘルスケア社製,京都)を腰に装着するよう求めた.この加速度計は,座位行動,生活活動,歩行活動に活動を分類できる.座位行動については,30分以上継続するか否かでも分類した.解析には,ISモデルを用い,各行動30分間を別の行動に置き換えた際に,アウトカム指標に及ぼす置き換え効果を推定した.交絡要因とは独立して,長時間続く座位行動30分間を,長時間続かない座位行動30分間に置き換えることで,腹囲が0.55 cm低値を示した(β = -0.55, 95%信頼区間: -0.94, -0.16 cm). 同様に,長時間続く座位行動30分間を歩行活動30分間に置き換えることで,HDLコレステロールが1.47 mg/dL高値を示した(β = 1.47, 95%信頼区間: 0.32, 2.63 mg/dL).長時間続く座位行動を他の活動的な行動へ置き換えることで,いくつかの循環器系疾患危険因子が良好な値を示すことが明らかとなった.今後は,座位行動を減少させる介入プログラムの確立とその効果検証が課題である.
3: やや遅れている
課題1に相当する「座位行動や身体活動と健康リスク」に関する解析は概ね完遂できた.一方で,平成27年度から開始予定の介入研究をまだ開始できていないため,(3)やや遅れている と判断した.
平成28年度の前期で,介入研究のプロトコル確定および倫理審査を済ませ,後期で介入研究を実施する予定である.年度末に結果をまとめ最終報告とする.同時に,平成27年度の成果を国際誌に投稿する.
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (8件) (うち国際共著 2件、 査読あり 8件、 オープンアクセス 4件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 3件)
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