研究課題/領域番号 |
14J00467
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
三藤 崇行 筑波大学, 生命環境科学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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キーワード | ミトコンドリア / ミトコンドリアゲノム / mtDNA / モデルマウス / 組織特異性 / 骨粗鬆症 / 細胞分化 |
研究実績の概要 |
ミトコンドリアゲノム(mtDNA)の病原性突然変異は、ミトコンドリア呼吸機能の低下を介してミトコンドリア病と総称される疾患群を引き起こすことが知られているが、mtDNA変異の病原性発揮機構の全貌は、未だに明らかにされていない。本研究はmtDNA変異導入マウス(ミトマウス)を駆使することで、mtDNA変異の病原性発揮機構が個体の発生や細胞の分化に伴って変化する現象、およびmtDNA変異が発生や分化を制御する現象の詳細を明らかにすることを目的としている。 本年度の成果は以下のとおりである。1)mtDNA変異の病原性発揮機構と細胞種との関係を明らかにするために、ミトマウスの遅筋と速筋との間で遺伝子発現比較を行い、両者の間で病原性突然変異型mtDNAが蓄積した際の発現変動が異なる遺伝子を探索した。その結果、病原性突然変異型mtDNAの蓄積に対する感受性の高さと相関のある遺伝子を見出した。2)mtDNA変異の病原性発揮機構と個体の発生との関係を明らかにするために、ミトマウスの胚発生後期、成体および老化個体との間でmtDNA変異の病原性発揮の比較を行った。その結果、生体に比べて胚発生後期や老化個体においては病原性突然変異型mtDNAの蓄積に対する感受性が異なること見出した。3)ミトマウスが骨粗鬆症を発症することを見出した。このことはmtDNA変異が骨代謝を担う細胞の運命決定を制御する可能性を示唆しており、現在、その機構を解析している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
遺伝子発現解析の結果から、細胞種間におけるmtDNA変異の病原性発揮の差異決定への関与が示唆される遺伝子が見出されたが、その分子機構の全貌解明には未だに至っておらず、この点ではやや進展が遅れている。一方、個体の発生とmtDNA変異の病原性発揮との関係を明らかにした点、mtDNA変異による骨代謝を担う細胞の運命決定制御を示唆する結果を得た点については、当初の計画以上に進展したため、成果の一部を論文として報告するに至った。以上を総合しておおむね順調に進展していると自己評価した。
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今後の研究の推進方策 |
細胞種間および個体の発生段階間におけるmtDNA変異の病原性発揮の差異決定機構、およびmtDNA変異による細胞の運命決定制御機構を明らかにするための解析を継続し、これらの成果を論文として報告する予定である。
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