研究課題/領域番号 |
14J00490
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
横山 諒 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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キーワード | シロイヌナズナ / 光合成 / NPQ / チラコイド / グラナ |
研究実績の概要 |
光合成を行う葉緑体内部にはチラコイドと呼ばれる膜構造が存在し、陸上植物ではそれらチラコイドが一部層状に重なりグラナを形成している。グラナでは光合成のために光を集めるのと同時に、過剰な光エネルギーを熱として捨てることで光合成装置を強光から護っている(NPQ)。我々は逆遺伝学手法をもちいてNPQが低下している新規シロイヌナズナ変異体riq1, riq2を同定した。riq変異体ではこの他にも、グラナを構成するチラコイド膜数が増加している表現型が確認された。本研究ではriq変異体の表現型解析を通して、葉緑体の内部構造の変化とNPQの関係性、およびその背後に潜む分子機構の解明を目的としている。
本年度は主にriq変異体と似たNPQの誘導パターンを示し、グラナが正常に形成されないcurt1a変異体に着目して研究を進めた。その結果、RIQタンパク質はNPQ誘導とグラナ形成にそれぞれ独立に寄与していることが示唆された。この結果をもとに現在投稿論文を執筆中である。また本成果の一部を第56回日本植物生理学会年会において発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
curt1a変異体はグラナを構成するチラコイドが平たくなり、かつ極端に構成チラコイドの枚数が少なくなるという表現型を示す(Armbruster et al., 2013)。一方で我々が同定したriq1, riq2変異体はグラナに含まれるチラコイドが多くなるという表現型を示す。さらに我々はriq1curt1a, riq2curt1a二重変異体を作成し、NPQが相加的により減少していることを発見した。葉緑体内部構造を観察したところ、riq変異体とcurt1a変異体両方の特徴が観察された。特にriq2curt1aはさらに表現型が強くなり、チラコイドが異常に重なり凝集している構造が頻繁に観察された。riq2curt1aの表現型は予想外の結果であり、RIQタンパク質の機能を考察する上で重要な発見となった。
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今後の研究の推進方策 |
本研究からRIQタンパク質がNPQ誘導時にアンテナタンパク質の動きを制御している可能性が示唆された。今後は、この挙動をより直接的に評価することでどのようにRIQタンパク質が関与しているのかを明らかにしていきたい。また、葉緑体分化過程においてRIQタンパク質がどのような役割を果たすのか、野生型と変異体の葉緑体分化過程における表現型解析から迫っていきたい。
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