研究課題/領域番号 |
14J00579
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
河野 貴文 広島大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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キーワード | X線 / ガンマ線 / 偏光 / ブラックホール天体 |
研究実績の概要 |
1)PoGOLite気球実験における硬X線偏光解析、次期フライトに向けた実験 現在は、PoGOLiteは2016年夏に予定している再フライトへ向けて検出器を改良中である。PoGOLiteは光電子増倍管と呼ばれる光読み出し器を用いて読み出しを行い、フライトに用いる可能性がある光電子増倍管は120本以上ある。そこから実際にフライトに使う91本を選定する作業を、実際にスウェーデンに訪問し、現地の研究者を主導して行った。更に、光電子増倍管の振る舞いをより良く理解し、次回のフライトに活かすために、計200時間に及ぶ1光電子の振る舞いを調べる実験を行った。その結果、これまでに知られていなかった光電子増倍管の挙動を発見し、それを詳細に調べて、次のフライトに有益な情報を得た。 2)TeVガンマ線連星HESS J0632+057の多波長解析 コンパクト天体が未知ある系に対して、SGDを用いた周期毎の偏光観測を行えば、放射機構に非常に大きな制限を与える事が出来るので、コンパクト天体同定に非常に強力な手段となると考えられている。そこで、今後SGDで観測する前に、より理解を深めておく為に、Be星と正体不明のコンパクト天体からなる大質量連星系であり、電波からTeVガンマ線までの幅広い領域で検出されているHESS J0632+057の多波長観測を行っている。約6年間のSwift/XRTのデータを詳細に解析した結果、位相に依存してスペクトルのべき、もしくは吸収体の柱密度(NH)が変化していることが分かった。更に、primary peak 付近は全平均に比べ、NHが有意に大きいことを明らかした。また、約6年分のFermi/LATのデータ解析から、これまではGeVガンマ線帯域で未検出であったHESS J0632+057検出の兆候を初めて得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
PoGOLite実験での硬X線偏光観測は、来年度の放球に向けて、準備実験に参加しながら順調に準備を進めており、来年度の観測が大いに期待される。X線連星のジェットの観測では、その候補と考えられているガンマ線連星について、アーカイブの全X線データと可視光による観測を組み合わせ、さらに理論家とも議論しながら、X線連星の様子を探る研究を進めており、順調に研究が進んでいると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
1)PoGOLiteの再フライト PoGOLiteは2016年7月に再フライトが予定されており、現在は、2013年のフライトの経験を生かし、検出器の改良を行っている。そこで私は、実際に現地に赴いて、検出器の較正試験を行い、検出器の性能を精度良く見積もると伴に調整を行う。そして、フライトの運用をコアメンバーとして行い、偏光観測を主導的に行う。 2)ガンマ線連星の研究 ガンマ線連星は、コンパクト天体と大質量星からなり、太陽の100万倍以上の高いエネルギー放射が卓越している連星系であり、これまでに5つの連星系しか発見されておらず、コンパクト天体の正体は1つしか突き止められていない為、放射機構は足掛かりも掴めていない。私が確立した、周期に依存した吸収量に着目する方法を用いて、コンパクト天体の正体に迫る。
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