研究課題/領域番号 |
14J00594
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
川﨑 教行 北海道大学, 理学院, 特別研究員(DC2)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-25 – 2016-03-31
|
キーワード | Al-26 / Al-Mg年代系 / コンドリュール / CAI / SIMS / 初期太陽系円盤 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,太陽系における短寿命核種Al-26の起源を解明することである。起源解明の手がかりの一つとして,初期太陽系円盤におけるAl-26の分布を知る事が挙げられる。このAl-26分布の解明は,Al-Mg相対年代系の解釈においてもきわめて重要である。本研究では,Al-Mg相対年代系をPb-Pb絶対年代系と比較し,初期太陽系円盤におけるAl-26の分布・不均一性を解明する。また,Al-Mg相対年代系の解釈を再考する。今年度は以下を実施した。 (1)平成26年3月に新しく北海道大学に設置されたマルチコレクター型SIMS,Cameca ims-1280HRを用いた高精度Al-Mg同位体分析を立ち上げた。 (2)隕石中のコンドリュール21個のAl-Mg年代測定をSIMSを用い行った。さらにそれぞれのコンドリュールについて,共同研究者らにより,ICPMSを用いたPb-Pb年代測定が行われ,現在コンドリュール21個中9個が分析された。以上の分析の結果,コンドリュールのPb-Pb絶対年代と,CAIを基準としたコンドリュールのAl-Mg相対年代は異なる年代を示す。この場合,Pb-Pb系のほうがAl-Mg系よりも古い年代をもつことから,CAI形成領域に比べ,コンドリュール形成領域ではその形成時にAl-26量が少ないという分布が示された。 (3)隕石中のType C CAIのAl-Mg年代測定を行った。本CAIは,部分溶融による非平衡状態をもつ。つまり異なるイベントで形成した鉱物それぞれについて,局所Al-Mg年代測定を行うことで,各イベント間の年代差を求めることができる。このようなCAI内部での年代系部分リセットの場合,Al-26の不均一性に左右されることなく,各イベント間の年代差を求めることができる。Al-Mg分析の結果,非平衡な鉱物どうしの年代差は少なくとも160万年であることが示された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Al-26が初期太陽系円盤において不均一に分布していたことはわかったが,その起源の解明には至っていない。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は,Type A,Type Bと種々のCAIについて9-(3)同様の局所Al-Mg年代測定を展開し,初期太陽系円盤における過渡加熱イベントの年代を明らかにしていく。
|