研究課題/領域番号 |
14J00718
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
久保 茉莉子 東京大学, 人文社会系研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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キーワード | 国民政府 / 刑事訴訟 / 検察 / 自訴 / 律師 / 上海 / 上訴 |
研究実績の概要 |
南京国民政府時期の刑事訴訟について、まず検察制度について論文を執筆、2014年8月末に『歴史学研究』に投稿、査読結果を受けて1月に再投稿後、現在はその査読結果を待っている(4月末~5月頃に審査結果が通知される見込み)。また「南京国民政府時期的検察制度:以地方法院検察官為中心」という題目で第十五届両岸三地歴史学研究生論文発表会(2014年10月19日、河南省鄭州大学)にて報告。その後、司法警察について論じた中国語論文を執筆、12月に『政治大学論叢』(台湾)に投稿、現在査読結果を待っている(2015年末頃に審査結果が通知される見込み)。なお両岸三地論文発表会への参加記が『中国研究月報』5月号(2015年5月発行)に掲載される予定。また、私人訴追制度について、「中華民国刑事訴訟法改正過程と自訴制度」という題目で,法制史学会第252回東京部会(2014年10月4日、星薬科大学)にて報告。この報告内容を整理し、「中華民国刑事訴訟法の制定と自訴制度」という題目でCPAG若手ワークショップ(2015年2月7日、東京大学東洋文化研究所)にて報告。なお「南京国民政府時期における自訴制度」という題目で法制史学会第67回総会(2015年6月15日,関西学院大学)にて報告予定。さらに上訴制度について、「南京国民政府時期刑事訴訟的上訴制度」という題目で,香港亜州研究学会第十届研討会(英名:The 10th Annual Conference of The Asian Studies Association of Hong Kong (ASAHK),2015年3月14~15日,香港珠海学院)にて報告。その他、書評を執筆し、『東洋学報』に掲載された(久保茉莉子「孫慧敏著『制度移植 民初上海的中国律師(1912‐1937)』」『東洋学報』96巻4号、2015年3月)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
2012年9月~2013年7月の上海留学期間中に収集した史料中に様々な文書が含まれており、多様な観点から分析することができたため。具体的に言えば、本研究の開始当初は刑事裁判の判決書のみを用いた分析を計画していたが、史料中には判決書以外に司法機関や捜査機関同士の往来書簡や訴訟当事者の提出書類等、分析すべき様々な材料が豊富に含まれており、それらを異なる角度からみていくことによって、検察制度、私人訴追制度、上訴制度という3つの研究を展開することができた。 また、報告の機会を多数いただいたことも研究の進行を促す要因となった。修士課程在籍時から様々な研究会や学会等に参加してきたことで、中国近現代史や法制史の分野におけるネットワークがつくられ、研究会や学会での報告を勧められたり、依頼されたりする機会が増えた。そして充実した内容の報告を準備するよう努めたことで研究が進んだ。
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今後の研究の推進方策 |
博論をまとめる作業を進めつつ、京都大学と台湾の国民党党史館での史料収集を行い、さらに多様な観点から分析を行うことで、本研究をより厚みのあるものにする。具体的に言えば、京都大学人文研・法学部図書館に所蔵されている民国期の学術書や判例集を収集、分析する。国民党党史館では法律制定過程における国民党中央の影響力について検討するための関連文書を検索、分析する。 今後も積極的に研究会や学会に参加し、これまでに築いたネットワークを維持していくと同時に、国内外、特に国外において新たなネットワークを形成していくよう努める。その際、自身の研究内容について外国人研究者が十分理解できるよう、英語と中国語の会話能力をブラッシュアップしていく。また、海外の学術雑誌、特に英語圏の雑誌に論文を投稿し、自身の研究内容とその意義が国際的に認知されるように努める。
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