研究課題
卵白アルブミン(OVA)により誘導される喘息モデルにおいて生体内でのCD300aの機能を解析した。CD300a遺伝子欠損マウスでは、野生型マウスに比べ、肺胞洗浄液中の総細胞数、好酸球数、気道抵抗、肺への細胞浸潤と粘液産生が有意に抑制されていた。CD300a遺伝子欠損マウスでは血清IgE値が誘導開始後早期より野生型に比べ抑制されていた。CD300aは炎症性単球由来の樹状細胞(inflammatory DC:iDC)に高発現し、野生型由来またはCD300a遺伝子欠損マウス由来のiDCと、ナイーブCD4陽性T細胞と共培養すると、CD300a遺伝子欠損マウス由来のiDCと共培養したT細胞からのIL-4産生が有意に低下した。抗原投与後の腹腔洗浄液中では経時的にCD300aのリガンドであるフォスファチジルセリン(PS)を発現するアポトーシス細胞が増加しており、樹状細胞がアポトーシス細胞にCD300aとPS依存的に結合することが確認された。抗CD300a阻害抗体によるアポトーシス細胞とCD300aの結合阻害により、喘息誘導後の肺胞洗浄液中の総細胞数、好酸球数が抗CD300a抗体投与群でコントロール抗体投与群に比べ有意に減少し、血清中のIgEの産生も有意に抑制された。以上よりアポトーシス細胞のPSがiDC上のCD300aと結合しTh2応答、アレルギー性気道炎症を増悪させることが明らかになった。アポトーシス細胞が樹状細胞と直接結合することによりTh2応答を促進する機序は新規の知見であり、気道のアポトーシス細胞の蓄積による喘息重症化の機序のひとつである可能性が考えられる。また、ワクチンアジュバントであるAlumにより誘導されたアポトーシス細胞によるTh2応答促進に寄与しているという可能性も示唆される。これらはアレルギー発症あるいは炎症の制御、予防につながる重要な知見であると考えられる。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Nature Immunology
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