研究実績の概要 |
加齢により動脈伸展性は低下する。また、動脈伸展性の低下は心血管疾患のリスクファクターとなる。一方、中高齢者における有酸素性運動トレーニングは動脈伸展性を増大させることが明らかになっている。非対称性ジメチルアルギニン(ADMA)は, 動脈伸展性の調節に大きな影響を与えることが明らかになっている一酸化窒素の産生を阻害し, 血管内皮機能の低下や動脈伸展性の増大に関与することが報告されている。さらに近年、有酸素性運動トレーニングによる動脈伸展性の増大にADMAが関与する可能性が示唆された。しかしながら、その詳細なメカニズムは不明である。そこで本研究では, 有酸素性運動トレーニングによる動脈伸展性増大にADMAが関与する詳細なメカニズムを明らかにすることを目的とした。今年度は、有酸素性運動トレーニングが血中ADMA濃度を低下させるメカニズムについて、横断的検討および縦断的に検討した。横断的検討では中高齢者において血中ADMA濃度と運動強度の関連性を検討し、血中ADMA濃度と中~高強度の活動時間に相関関係が認められた。このことから中~高強度の有酸素性運動が血中ADMA濃度の低下に有効である可能性が示された。縦断的検討では酸化ストレスに着目し12週間の有酸素性運動介入をおこなったが、血中ADMA濃度および酸化ストレス指標の低下が認められなかった。先行研究と異なる結果となった要因として対象者数の不足が考えられ、追加介入を実施し現在解析を進めている。さらに、有酸素性運動トレーニングによる動脈伸展性の増大に血中ADMA濃度の低下が関与するメカニズムの検討については、中高齢者において有酸素性運動トレーニング介入を実施し、血管機能データおよび血液検体の収集までを完了した。今後解析をおこなう予定である。
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