本年度は,前年度提案した2自由度作動結合型アクチュエータの実機検証と,3自由度位置センシング手法である,カラーエンコーダモデルの実機による評価を行った. 現在,多自由度システムの普及が進んでいる.これらのシステムは1自由度アクチュエータの組み合わせで実現されており,自由度の増加に伴い構造の大型化,リンク機構によって発生する特異点によって制御性が悪くなってしまうなどといった問題を抱えている.これらの課題を解決するために1台で多自由度駆動が可能な多自由度アクチュエータの研究開発が世界中で行われている.これらの多自由度アクチュエータの問題として,制御装置の大型化が挙げられる.本研究で提案する2自由度アクチュエータは従来の同期モータと同様に,3相インバータを使用可能であり,制御装置が大型化することがない. 提案した2自由度作動結合型アクチュエータの試作機を製作し,静トルク特性評価と,位置決め制御実験を行った.測定した静トルク特性はシミュレーションと定性的に一致しており,本アクチュエータがシミュレーションと同等の特性を有することが確認できた.また位置決め制御実験では,シミュレーションと可能な限り条件を揃えると,エンコーダの分解能以下で位置決めが可能となっており,高い位置決め制御特性が可能であることを確認することができた. 可動子の位置センシング手法に関しては,実際のアクチュエータ可動子に色付けを行い,センシング精度を確認する実験を行った.結果,色付け間隔に応じて,色検出が可能となっており,より細かい色付けを行えば,より良好な精度で位置センシングが可能である可能性を示唆するものでった.
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