研究課題
青年期男性右利きのASD群19名(平均年齢=25.3 ± 6.9歳; 自閉症スペクトラム指数 [AQ] = 33.4 ± 4.2; full scale IQ [F-IQ] = 109.7 ± 12.4)と青年期男性右利きの定型発達群21名(平均年齢 = 24.8 ± 4.3 歳; AQ = 18.6 ± 5.7; F-IQ = 109.5 ± 8.7)を対象にしてrs-fMRIを実施した。測定されたデータの解析は、内側前頭皮質 (medial prefrontal cortex : mPFC) と後部帯状皮質 (posterior cingulate cortex : PCC) を関心領域 (region-of-interest : ROI) としてseed設定し、ROI内の時系列データの脳機能的結合 (resting state functional connectivity : rs-FC) を解析した。さらに、AQとROI内の時系列データとの関連性を分析した。ASD群のrs-FCは、定型発達群のDMNのrs-FCより有意的に低かった脳機能的結合は、①mPFC-中前頭回(middle frontal gyrus)、②mPFC-中心傍小葉(paracentral lobuli)、③PCC-mPFCであった(すべてp < 0.001)。さらに、rs-FCに有意差が認められた脳部位においてAQとの負の相関が認められた(p < 0.01)。本研究の結果より、ASD群のDMNの機能的連結は弱いパターンを示し、その機能的連結はASD症状の重症度との関連があると考えられた。これよりDMNの機能的連結はASDの診断において客観的なバイオマーカーとして有用である可能性が示唆された。
1: 当初の計画以上に進展している
26年度に予定していた実験をすべて実施し,2編の論文発表と9件の学会発表をおこなった。また、次年度におこなうfMRI解析も順調に進展している。本研究によって脳機能を探索するためには必須の課題遂行を実施できなかった集中維持が困難な方や、幼少児の被検者でも、MR 機器の中で安静臥床しているだけのこの簡便な手法により、脳機能活動を検討することができ、自閉症スペクトラム傾向を探求する可能性をしめした。さらに、治療的アプローチの前後に測定することで治療効果の脳科学的指標(効果判定)に役立つことも期待される。
ASD者の障害の程度が情動認識のメカニズムにどのような影響を与えているかを明らかにすることである. 特に, ASD者の診断基準である3主症状(対人相互作用, コミュニケーション, 常同行動)の中, 情動認識に最も影響を与える要因を明らかにし, 情動認識のメカニズムを解明する.
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Social cognitive and affective neuroscience
巻: 10 (2) ページ: 145-52
10.1093/scan/nsu126
Molecular Autism
巻: 5 ページ: 1-11
10.1186/2040-2392-5-35