研究課題/領域番号 |
14J00830
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
熊谷 仁 筑波大学, 大学院人間総合科学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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キーワード | 動脈機能 / 肥満 / テストステロン / イリシン / 有酸素性運動トレーニング |
研究実績の概要 |
本研究は、男性ホルモンであるテストステロンと骨格筋由来のイリシンという物質との関連に着目し、肥満男性における生活習慣改善(有酸素性運動トレーニングや食習慣改善)が動脈機能を改善するメカニズムについて検討すること、特に有酸素性トレーニングによる動脈機能改善のメカニズムについて検討することを目的としている。 H.26年度の研究では、肥満男性を対象とした3ヶ月間の有酸素性運動トレーニングと食習慣改善による生活習慣改善介入を実施した。3ヶ月間の生活習慣改善介入により、体重は平均で約12kg低下し、血中総コレステロール、HDLコレステロール、LDLコレステロール、中性脂肪などの血中マーカーの改善が認められた。また、動脈機能の指標である脈波伝播速度(PWV)やAugmentation Index(AI)、中心血圧などの有意な低下が認められ、男性ホルモンである血中テストステロン濃度についても、3ヶ月間の生活習慣改善介入後に有意な増加が認められた。さらに、血中テストステロン濃度の増加とPWVの低下および中心血圧の低下に有意な関連が認められた。これらの研究成果は、国際学術誌に公表した(Kumagai et al. Artery Res. 2014)。血中イリシン濃度に関しては、現在分析中である。 また、現在、中高齢男性を対象とした横断的検討やモデル動物を対象とした介入研究(有酸素性運動トレーニング介入)も実施している。モデル動物を用いた実験では、肥満・糖尿病モデルラット(OLETF rat)を対象とし、8週間の有酸素性運動トレーニング(60分/回、5回/週、25 m/min)が性ホルモンおよび動脈機能に及ぼす影響について検討を行っている。介入終了後、血液や組織を用いた分析を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、肥満男性を対象とした12週間の生活習慣改善介入(有酸素性運動トレーニングと食習慣改善の併用)を中心に研究を進めた。12週間の生活習慣改善により、平均で12kgの減量に成功した。また、血中テストステロン濃度は有意に増加し、動脈機能の指標である脈波伝播速度やAugmentation Index、中心血圧なども有意に改善した。血中イリシン濃度に関しては、現在分析中である。 一方で、肥満男性を対象とした介入研究と並行して中高齢男性を対象とした横断的検討やモデル動物を対象とした実験も進行中であり、研究はおおむね順調に進行していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
次年度以降は、現在進行中の肥満・糖尿病モデルラットを対象とした実験(OLETF ratにおける有酸素性運動トレーニング介入)や中高齢男性を対象とした横断的検討を引き続き実施する予定である。 また、ヒトを対象とした介入研究においても、今年度とは異なる有酸素性運動トレーニング単独や食習慣改善単独による介入研究を実施し検討を行なっていきたいと考えている。
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