研究課題/領域番号 |
14J00964
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
内海 晋弥 早稲田大学, 基幹理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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キーワード | ナヴィエ・ストークス方程式 / ラグランジュ・ガレルキンスキーム / 特性曲線有限要素法 / 局所近似流速 / キャビティ問題 / 粘性係数依存性 / 圧力安定化法 |
研究実績の概要 |
本研究課題では,非圧縮粘性流体の運動を記述するナヴィエ・ストークス方程式の数値計算,特にラグランジュ・ガレルキンスキームを扱っている.ここで,ラグランジュ・ガレルキンスキームは前年度まで特性曲線有限要素スキームと呼んでいたものである.両者は同一であるが,前者の名が広く使われているので呼び方を変えた.本年度は以下(i)-(v)の結果を得た. (i) 前年度に引き続き,我々が開発した,厳密に実装でき,かつ,数値解の厳密解への収束性が数学的に証明できる局所近似流速を用いたラグランジュ・ガレルキンスキームの解析を行った.我々がすでに得ていた誤差評価式を見直し,精密化した. (ii)合成関数項を含む要素外力ベクトルを計算する高速なアルゴリズムをまとめる作業を行った.(i)のスキームでは,従来の数値積分を用いたスキームより計算量が多くなるので,効率がよいアルゴリズムを設計することが重要である. (iii) 数値積分を伴わないラグランジュ・ガレルキンスキームに関して結果を得る一方,従来の数値積分を用いるスキームについて数学的な安定性解析を行った.前年度までに得ていた結果の仮定を緩和し,一般の滑らかな流速場に対して条件安定性を得た. (iv) (i)で述べたラグランジュ・ガレルキンスキームを用い,正則化された境界条件を用いた正三角形キャビティ問題の数値計算を行った.前年度よりも高精度な計算を行い,分岐が起きるレイノルズ数をより正確に求めた. (v) 非定常ストークス方程式のための圧力安定化有限要素スキームの誤差の粘性係数依存性に注目した誤差評価を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ナヴィエ・ストークス方程式のための局所近似流速を用いたラグランジュ・ガレルキン法の誤差評価を予定通り完成させた.数値積分を用いるスキームの条件安定性の仮定を緩和できたことと,圧力安定化法の粘性係数依存性に注目した誤差評価を行えたことは予想外の進捗であった.一方で3次元問題の計算は遅れている.これらを総合して,(2)と判断した.
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今後の研究の推進方策 |
前年度に作成した高次要素を用いた圧力安定化ラグランジュ・ガレルキン法を用いて,物理的に意味のある問題(例えばキャビティ問題)で数値実験を行い,高レイノルズ数において高精度な数値結果を得られることを示す.前年度までに,厳密解が分かっている人工的な問題においては良好な数値結果を得ていた.本年度は境界層が現れる問題に対して数値解の精度が良いことを確認する. 様々な領域において物理的に意味のある問題の数値実験を行い,レイノルズ数が流れパターンに与える影響を精査する.例えば,これまで考えていた領域の形状を微小に変化させたときの分岐への影響を調べる. プログラムのすべての箇所の計算時間を計測し,これを速めるためのチューニングを行う.特に,連立一次方程式の求解は最も計算時間を要する箇所である.前年度までに使ってきた反復法と前処理以外の方法を取り入れて計算時間の削減を行う.その次に計算時間を要する移流項の計算についてもプログラムを精査する. 平成28年度は最終年度であるので,これまでの研究のまとめる作業に重点を置く.
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