研究課題/領域番号 |
14J00968
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
舟橋 正真 日本大学, 文理学部, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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キーワード | 象徴天皇制 / 日本政治史 / 日米関係史 / 昭和天皇 / 佐藤栄作 / 田中角栄 / 宮内庁 |
研究実績の概要 |
2014年度の研究実績は、以下の通りである。第一は、昭和天皇訪米をめぐる日米関係を検討した。昨年度より調査収集した外交文書、米国国務省文書、フォード大統領文書を活用し、1971年から1975年までの日米間の天皇訪米決定の構造的力学を検討した。主に日米交渉の過程を分析し、天皇訪米の日米関係史上の意義を明らかにした。以上の成果は、研究会で口頭発表した。 第二は、昭和天皇外遊に深く関わった佐藤政権と田中政権を分析対象とし、外遊決定の憲法運用をめぐる議論を丹念に検討した。まずは、戦後初の天皇外遊(訪欧)を極秘に検討した佐藤内閣を分析し、政府内の極秘協議の具体的内容および決定の過程を明らかにした。次は、天皇訪米決定の運用をめぐる国会論議を分析し、その決定のあり方(天皇が決定権を有す)が、田中内閣と日本社会党の対立のなかで妥協の産物として成立したことを明らかにした。以上の成果は、学会で発表した。 第三は、田中政権期の昭和天皇訪米問題を再検討した。主に、訪米決定をめぐる各勢力(内閣、宮内庁、日本社会党、日本共産党)の推進と反対の論理に関する分析に力点を置き、その検討から、保守政権と左派勢力の天皇観が、1970年代の政治的文脈のなかに深く浸透したことを明らかにした。以上の成果は、学術雑誌に投稿し掲載決定を受けた。 以上の研究を遂行するにあたっては、外務省外交史料館、宮内庁書陵部宮内公文書館、国立国会図書館憲政資料室、英国国立公文書館、大英図書館、ニクソン大統領図書館、フォード大統領図書館などで、史料調査・収集を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の「研究実施計画」通り、昭和天皇「皇室外交」の政治史的、日米関係史的な検討を進め、口頭発表および論文発表(掲載決定)などの成果を得ることができた。その他、国内外における史料調査・収集も順調に進んだ。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、国内外の調査で得た史料を分析し、昭和天皇の外遊を国際関係史的な視点から考察する予定である。具体的には、1971年の昭和天皇訪欧(主に訪英)と1975年の昭和天皇訪米の外交戦略についてである。これらの研究成果を本年度の成果と合わせ、学位請求論文(博士論文)として提出する予定である。
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