研究課題/領域番号 |
14J00969
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
樋口 貴俊 立命館大学, 総合科学技術研究機構, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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キーワード | トレーニング装置 / 運動学習 / スポーツ |
研究実績の概要 |
スポーツにおける「ボールを打つ」という課題は高速度かつ複雑な運動であり、ボールと打具が接触している時間も極めて短いため、打った本人の感覚や指導者の肉眼での観察から得られる情報のみでは打撃技術を効果的に高めることが困難である。そこで本研究では運動実施者の打撃技術向上を促すことを目的として、高速度カメラやモーションセンサを駆使した運動学習支援システムを開発し、その有効性を検証する。本年度は、実戦同様の投球映像を見てバットをスイングし、スイング軌道などの情報を即時フィードバックできる「仮想野球打撃システム」を、ヘッドマウントディスプレイとモーションセンサを用いて作成した。投球アニメーションは実際の投手および投球の動きのデータをもとに再現することで実世界に近い仮想空間を構築した。この装置の開発により3次元的な投球の追従が可能となり、これまでは練習環境の制限が多かった実戦投球に応じたバットスイングを行う練習の機会の増加が期待できる。 本システムのスポーツ現場導入に向けて本年度は、一般大学生および大学野球選手、プロ野球選手を対象とした本システムの使用およびアンケート調査を実施し、使用する際の問題点の改善および使用者が希望するフィードバックシステムの作成に取り組んだ。その結果、様々な球種、球速、コース、投球モーションの投球プログラムを使用者が事前に設定することができ、バッティング直後にバット速度、インパクト位置、スイング軌道がヘッドマウントディスプレイ上に表示されるアプリケーションに改善された。今後は本システムを用いた打撃トレーニングが打撃パフォーマンスに及ぼす影響を検証する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、①ボールを打つ能力を向上させるためのトレーニングシステムの開発と、②そのシステムの有効性の検証が大きな目標となっており、本年度はトレーニングシステムとして実用可能な仮想野球打撃システムを完成させたので、順調に進展していると評価できる。ただし、バットの位置計測システムの精度などに改善が必要であり、当初の計画通りに遂行できなかった取り組みもあった。
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今後の研究の推進方策 |
本年度に完成した仮想野球打撃システムを用いたトレーニングを12週間行う前後の打者の打撃パフォーマンスを比較することにより、本システムの有効性の検証を行う。有効性が認みられなかった場合には、トレーニングを更に12週間延長した後、再度測定を行う。有効性が確認できれば、より多くのスポーツ現場で本システムを利用してもらうための社会実装プロジェクトを始動する。
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