申請者は極超新星に付随した電波残光放射の解析を行い、その放出物質が非相対論的な速度をもつことを示した。また極超新星の光度がピークを迎える数日前に、可視光帯域において前兆放射が観測されうることを初めて予言した。これは極超新星の発生機構に迫る重要な理論的成果であり、観測と関連している点で優れている。申請者は他にも、初期宇宙で誕生する可能性がある超大質量星が引き起こすガンマ線バースト(GRB)の研究に着手した。そしてそれが極めて長い継続時間をもつGRBとして、現行の観測衛星でも十分検出できる可能性があることを初めて示した。この結果は宇宙に広く存在する超巨大ブラックホールの起源を解明する上で重要である。さらには当初の研究計画の範疇を越えて、周囲からの質量降着がある状況で超大質量星が成長する過程を定量的に調べる研究に着手した。そしてこれまでに考慮されてこなかったアウトフローの効果を取り入れた数値計算コードを作成した。
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