研究課題/領域番号 |
14J01106
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
蔡 逸卉 同志社大学, 心理学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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キーワード | proactiveコーピング / 大学から職場への移行 / ポジティブ心理学 |
研究実績の概要 |
本研究テーマは,proactiveコーピングが大学から職場への移行に及ぼす影響を検討することである。これについては,以下のように大きく2つの部分を分けて検討を行っている:①proactiveコーピングに関する個人特性(以下では,proactiveコーピングスタイルとよぶ)が,大学から職場への移行前に就職活動のプロセスと就職への認知的評価に及ぼす影響,および移行後に職場ストレス対処プロセスに及ぼす影響,②就職前に大学から職場への移行に対して実際に行ったproactiveコーピングに関する認知的・行動的努力(以下では,proactiveコーピング方略をよぶ)が,大学から職場への移行後の職場適応感に及ぼす影響,についての検討である。2014年度については,主に②にかかわって以下の研究の実施とデータの分析を行った。大学生4年生が職場への移行前に行うproactiveコーピング方略と,proactiveコーピングスタイルとの関係性を検討し(研究1)、そして、大学から職場への移行に対するproactiveコーピング方略が,就職1ヵ月後(研究2)、就職6ヵ月後(研究3)と就職1年後(研究4)の職場適応感に及ぼす影響について検討する。 (実業1)研究1が,2013年度末に実施され、その結果については,International Convention of Psychological Scienceにおいてポスター発表を行った。 (実業2)研究2を実施し、その結果について,日本健康心理学会においてポスター発表を行った。 (実業3)研究3を実施し、その結果については,World Congress on Positive Psychologyに“The Effect of Proactive Coping on Transition Form College to Work”というタイトルでポスター発表を申し込み,受付された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2014年度の計画の一つは、就職前に大学から職場への移行に対して実際に行ったproactiveコーピング方略が,大学から職場への移行後の職場適応感に及ぼす影響についてを検討する縦断的研究を進める予定である。そして、計画通りに大学から職場への移行一ヶ月後と半年後の2つの時点に、研究を実施した。 また、2014年度の計画には、2014年度前に実施した、proactiveコーピングスタイルが,大学から職場への移行前に就職活動のプロセスと就職への認知的評価に及ぼす影響,および移行後に職場ストレス対処プロセスに及ぼす影響に関する研究の成果を、論文化することも予定していた。そして、それら研究の結果を再分析を行い、その一部ををまとめ、日本健康心理学会の学会誌への投稿準備を進めて、年度末にはほぼ完成させた(平成27年4月に投稿済)。 本研究のテーマとなる、環境移行におけるproactiveコーピングの影響に関する実証的研究は、本邦においては皆無であり、国際的にもまだ十分にその効果は検証されていないことから、上記のような研究の進展は、この分野における研究に大きく寄与し、環境移行における臨床的な介入にも示唆を与える有益なものとなっている。
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今後の研究の推進方策 |
2015年度に、就職前に大学から職場への移行に対して実際に行ったproactiveコーピング方略が,大学から職場への移行後の職場適応感に及ぼす影響についてを検討する縦断的研究について、最後の大学から職場への移行一年後の時点に関する研究を実施する予定である。そして、そこで得られるデータを、2014年度に実施した、移行一ヶ月後と半年後の2つの時点のデータとまとめて分析を行い、学会で発表し、論文化する予定である。 また、2014年度前に実施した、proactiveコーピングスタイルが,大学から職場への移行前に就職活動のプロセスと就職への認知的評価に及ぼす影響,および移行後に職場ストレス対処プロセスに及ぼす影響に関する研究の成果について、残りの部分を論文化することも予定する。
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