研究実績の概要 |
本年度はバックステップ燃焼器におけるガス燃焼および噴霧燃焼にLarge-Eddy Simulation (LES)を適用し,燃焼振動の発生メカニズムについて検討を行い,さらに,初期の燃料液滴径の違いが燃焼振動特性に及ぼす影響についても調査を行った.その結果,噴霧燃焼における燃焼振動では,ガス燃焼の場合と同様の圧力変動,流速変動および熱発生率の変動に加え,燃料液滴の蒸発速度も変動することを明らかにした.また,噴霧燃焼振動の強度は初期の燃料液滴径の違いにより変化し,特定の燃料液滴径において最大となることを明らかにした.さらに,その燃焼振動強度の変化は,平均液滴径の違いにより変化する蒸発率がステップ後部における熱発生率に影響を及ぼすために生じることを明らかにした.以上の研究成果は国内および国外の学会において発表済みである(日本流体力学会年会2015, ETC2015).また,現在,本研究成果を学術論文に投稿中である(Kitano et al., Combust. Flame, submitted). また,燃焼振動に起因して発生する火炎の逆流現象(フラッシュバック)について調べるため,チャネル乱流中のガス燃焼にDirect Numerical Simulation (DNS)を適用し,燃焼振動を模擬した圧力変動を与えることにより,燃焼振動がフラッシュバックに及ぼす影響について検討を行った.その結果,フラッシュバックの瞬間速度および瞬間壁面熱流束は圧力変動により大きく変動することを明らかにした.さらに,圧力変動によりフラッシュバックの平均速度が増加すること,つまり,フラッシュバックの危険性が増すことを明らかにした.以上の研究成果は学術論文に発表済みである(Kitano et al., Energy & Fuels, 2015).
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