研究課題/領域番号 |
14J01140
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
新谷 俊了 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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キーワード | 結合推定 |
研究実績の概要 |
多領野fMRIデータを用いた脳領野間の活動の結合を推定するための推定方法の開発を行っている。ここで述べている結合は領野間の活動の相関を時間的にとらえた場合の結合で方向を持っている。この結合の推定で近年よく使われている手法であるDynamic Causal Modeling (DCM)がある。そこで、我々はDCMの推定性能の評価を行うために、数値シミュレーションを用い、データを出力したモデルが分かっている場合に、推定モデルに対して何の仮定も置かないモデルからシミュレーションモデルが復元できるかを調べた。該当研究の内容を2015年3月21日(土)に早稲田大学で行われた日本物理学会第70回年次大会において“DCMによる脳領野間の有効結合の推定”という題目で口頭発表した。また、2015年3月11日(水)のワークショップ“Workshop on fluctuating activity in neural networks”にて“Estimating effective connectivity between brain areas with DCM. ”というタイトルで口頭発表を行った。 多領野の結合推定にDCMを用いるために現在はスパース推定を行うことを取り組んでいる。現在、相関解析により多領野間がクラスター状に結合する構造を持つことが分かっている。我々は、スパース推定を用い脳領野間の重要な結合を取り出すことにより、脳領野間の結合が時間変動するクラスターに分解できるのではないかと考え研究を進めている。本研究が達成されれば、多領野のfMRIデータという高次元データから時間変動するeffective connectivityによる脳領野間の結合クラスターの変化を知ることができるため、本申請の目的が達成できると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
スパース推定などの現代的な手法を取り入れ、研究を進めている。現在取り組んでいる脳領野間の結合推定手法に関する推定能力の評価についての研究は、平成25年度に2回の国内会議での口頭発表を行い、また本年度には研究内容を論文にまとめる予定であり、研究については指導教官からの指導も受け順調に進んでいると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
本年度が採用最終年度であるため、研究内容を論文に取りまとめる予定であり、その内容を持って、博士課程の修了を目指す。そのために、「研究実績の概要」でも述べた通り、脳の多領野間の結合推定にDynamic Causal Modeling (DCM)を用いるためにスパース推定を行う。スパース推定は現在活発に研究されている課題の一つであり、脳領野間の結合推定に導入することにより、重要な結合様式に関する新たな発見ができると期待している。本年度はこの研究内容に関して、国際学会での発表を目指す。
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