リソソーム酵素のマンノース6リン酸(M6P)化が障害されているムコリピドーシスII型(MLII)のモデルマウスを用い、免疫細胞に焦点を当ててリソソーム機能の解析を行った。 MLIIマウスではリンパ球B細胞のリソソーム機能が特異的に障害されている事が明らかとなり、その結果B細胞の増殖・分化・抗原提示能・抗体産生能が低下していた。一方でT細胞の機能は正常であった。以上の事から、B細胞とT細胞ではリソソーム酵素の細胞内輸送経路が違う事が示唆され、B細胞はプロテアーゼの運搬をよりM6Pに依存している一方で、T細胞はM6P非依存性の細胞内輸送を利用している事が分かった。興味深い事に両細胞においてグリコシダーゼ活性は保たれており、グリコシダーゼはM6Pに非依存性に輸送されている可能性が示唆された。 酵素特異的・組織特異的なリソソーム酵素輸送経路が複数存在している事が改めて確認され、本研究を基礎としてM6P非依存性経路の解明及びリソソーム酵素の新しい補充方法(ドラッグデリバリーシステム)の開発が期待出来る。また、本研究結果はMLII患者においても確認され、患者のフォローにおける臨床的意義も高い。
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