研究課題
自己免疫疾患や癌転移といった少数細胞が原因となる全身性疾患において、全身・全臓器一細胞解像度イメージングを用いた定量的解析手法は病態理解、治療法開発の基盤技術となる。透明化処理後臓器の光透過性、イメージング画像の解像度を定量化することによって、それぞれの臓器に対して最適な屈折率を検討する。免疫細胞、間質細胞などに対する免疫染色の条件検討を行い、癌細胞を取り巻く様々な微小環境の構成細胞可視化に取り組んだ。最初に個体・臓器レベルでの癌微小環境観察系を確立し、癌転移巣の時系列的変遷の検出に取り組んだ。次に免疫染色を行い血管系の描出を行うことにより、癌転移巣と血管系との距離を一細胞解像度で定量化した。一細胞解像度で脳転移巣の病態解析を行ったのは世界初である。癌微小環境可視化の技術を確立した後に、同じ癌細胞種の異なる臓器に対する転移形式の差異、異なる癌細胞種の同じ臓器に対する転移形式の差異を病理学的に定量解析した。包括的に哺乳類個体の細胞ネットワークを観察する技術を開発することにより「個体レベルのシステム生物学」が可能となった。久保田らの開発した透明化手法は臓器を均一に染色することのできる免疫組織化学染色法と組み合わせる事によって分子から細胞そして個体という多階層にわたる複雑な生命現象の解明に更なる力を発揮すると期待できる。更にこの技術により臓器に存在する少数細胞の同定そして細胞同士の関連性が初めて明らかになると考えており、癌や免疫疾患を始めとした医学分野において新たな視点を生み出すと期待出来る。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Annu. Rev. Cell Dev. Biol. 32, 713-741 (2016)
巻: 32 ページ: 713-741
10.1146/annurev-cellbio-111315-125001