研究実績の概要 |
本年度前半は昨年度に引き続き非正定値リーマン計量をもつ空間の曲率テンソルから作られる不変量による分類の研究の取りまとめを行った。University of StavangerのSigbjorn Hervik教授、Anders Haarr氏と共著での論文発表に至った(Sigbjorn Hervik, Anders Haarr and Kei Yamamoto, “I-degenerate pseudo-Riemannian metrics,” Journal of Geometry and Physics, 98 (2015), 384-399)。同時に非平衡状態における場の量子論の研究を継続し、Herranen, Kainulainenらによるケルディッシュグリーン関数の方法の宇宙論への応用についての一連の論文を読み進めた。彼らはelectroweak baryogenesisへの興味からCoherent quasiparticle approximationと呼ばれる近似手法を提案しており、そのインフレーション後のreheatingへの応用可能性を検討したが、適当なモデルを見つけることはできなかった。
非平衡グリーン関数の方法についての研究の副産物として、その線形応答理論を適用して磁性体中の異常ホール効果に関する研究が進展した。東北大学の齊藤英治教授らとの共同研究を行い、スピン波の静磁モードに由来する新しいタイプの異常ホール効果の存在を示すことに成功した(Kei Yamamoto, Koji Sato, Eiji Saitoh and Hiroshi Kohno, “Anomalous Hall effect driven by dipolar spin waves in uniform ferromagnets,” Physical Review B 92, 140408(R) (2015))。
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