研究実績の概要 |
当該年度における研究では,スジオアノリ群を対象とした培養槽内に生じる絡みを抑制する水流制御方法に取り組んだ.情報工学的な観点から物理シミュレーション解析を用いて海藻同士の絡みの発生推定と定量評価尺度の提案を行い,絡みの定量評価尺度における実海藻の絡みに対する妥当性について実際の攪拌環境を用いた検証実験を実施した. 前述に対する研究では,培養層内での攪拌運動から生じる海藻同士の絡み形成を定量的に評価する指標が現段階で提案されていない問題点に対し,物理シミュレーション解析を通して海藻同士の絡み形成について特徴量として数理モデル化し,その特徴量を特徴ベクトル化することで非線形サポートベクターマシンに基づいたパターン学習による人の認識に近い絡みを判定する分類器を提案した.その成果として攪拌運動中の海藻群における絡み形成を定量的に測定することを可能とした. 後述に対する研究では,提案した絡みの定量評価尺度について実海藻の絡みに対する妥当性検証を行った.実際のスジアオノリおよび磁気攪拌機を採用した攪拌実験機材を構築した.本環境はマイクロコンピュータを用いて磁気攪拌子の回転速度制御を実施することで攪拌流体速度を調整可能なものとした.実際の絡み制御に有効な水流特性を解析するために, 攪拌機に与える電圧を一定および周期関数により変化させることで, 定常流, 非定常流での絡み発生量について定量評価尺度を用いて解析した.その解析結果から渦流付近での海藻の攪拌運動が絡み形成に寄与しており,周期的な逆流生成で得られる水流特性が渦流を緩和する攪拌となり絡み制御に有効であることを明らかにした.加えて,水流条件を変更して複数の検証実験を行ったところ,シミュレーションと実環境において絡みの評価尺度が同等の推移傾向が現れることを明らかにして,提案した絡み評価指標の妥当性を現実の絡み評価に対する妥当性を示した.
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