研究課題/領域番号 |
14J01342
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
田村 康将 北海道大学, 情報科学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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キーワード | 組合せ最適化 / ジョブショップスケジューリング / メタヒューリスティクス |
研究実績の概要 |
ジョブショップスケジューリング問題(JSP)に対する局所探索と割付け規則の組合せ解法の有効性について議論するため,個々の問題構造と有効な割付け規則の関係性の解明を行った.解析の結果として,1)有効な規則を構築するには概ね3種類程度の単純な規則を組み合わせるとよいこと,2)有効な組合せのパターン(すなわち有効な規則)は問題によって異なること,3)問題構造(仕事数,機械数,作業時間など)と有効な規則との間に明確な相関は見られないことが判明した.これらの結果から,JSPの解法として有効な割付け規則を予め決定することは難しいが,単純規則の有効な組合せ方をスケジュール探索と同時並行的に学習することで,良質なスケジュールを導出するための規則を,探索の履歴から抽出することが可能であるといえる. また,上述した実験を通して,大規模問題に対する割付け規則を用いた解法の有効性として,有効な規則のオンライン学習を行った場合でも,十分に短い計算時間内で良好な解を得られることも明らかにした.この結果より,有効な規則をスケジュールの探索と同時に学習し,探索を補助するヒューリスティクスとしてフィードバックする解法に有効性が期待できる. 従来研究より,局所探索法はJSPに対する特に有効な解法であることが示されている.そこで本研究では局所探索法に対し割付け規則によるスケジュール構築を応用する方法を考えた.このとき,通常の割付け規則を用いたスケジュール構築では暫定解の状態に関わらず1つのスケジュールを決定的に導出してしまうため,スケジュールの一部分のみを対象として割付け規則を適用し,スケジュールの部分的再構築を行う方法を提案した.加えて,近傍を生成した割付け規則を評価し,GAなどの進化計算によってスケジュール探索と同時並行に学習することで,有効な規則の抽出・蓄積・再利用が可能である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
これまでの研究成果ならびに今年度の研究成果により,北海道大学大学院情報科学研究科 情報理工学専攻の定める学位授与の要件を満たした.よって,これらをまとめた学位論文を提出し,審査を経て合格の判定を受け,博士(情報科学)の学位を授与されるに至った.また博士後期課程修了時には,論文発表などを含めた学業成績優秀者として,北海道大学大学院情報科学研究科 情報理工学専攻より専攻長賞を授与された.
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今後の研究の推進方策 |
これまでの成果より,大規模問題に対する割付け規則を用いた解法の有効性として,一般的な局所探索法やJSP向けGAなどの多点探索手法と比較して,有効な規則のオンライン学習を行った場合でも,十分に短い計算時間内で良好な解を得られることも明らかにした.これらの結果より,有効な規則をスケジュールの探索と同時に学習し,探索を補助するヒューリスティクスとしてフィードバックする解法に有効性が期待できる. 以上の成果に基づき,動的に学習可能な割付け規則をスケジュールの探索に応用する方法について研究をすすめる. また,割付け規則の部分適用を探索の初期収束の高速化戦略および局所解からの脱出戦略として取り入れ,より有効な規則の抽出方法,部分適用の方法,大規模問題への適用について研究を進める.
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