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2014 年度 実績報告書

転写因子IRF8に注目した網羅的ターゲット遺伝子同定による脊髄損傷の病態解明

研究課題

研究課題/領域番号 14J01375
研究機関九州大学

研究代表者

小早川 和  九州大学, 医学系学府, 特別研究員(DC2)

研究期間 (年度) 2014-04-25 – 2016-03-31
キーワード脊髄損傷 / マクロファージ
研究実績の概要

IRF8が脊髄損傷の病態に与える影響を明らかにする為に、IRF8KOマウスの脊髄に損傷を加え、免疫組織学的解析を行った。WTマウスのCD68+マクロファージが損傷部で収束するのに対し、IRF8KOマウスのマクロファージは走化性が著しく低下し、慢性期になっても収束が完了しなかった。IRF8KOマウスでは脊髄損傷後の再髄鞘化面積がWTのものより顕著に減少しており、髄鞘面積とCD68陽性面積は負の相関を示していた。IRF8KOマウスでは再髄鞘化障害に伴い、残存軸索数が有意に減少していた。これらの結果は、IRF8欠損が脊髄損傷の組織修復に悪影響を及ぼしている事を示している。
損傷脊髄中には末梢血から浸潤した単球由来のマクロファージと、脊髄常在性単球であるミクログリア由来のマクロファージが存在する。これらの細胞種は互いに別の起源を持ち、また脊髄損傷における役割も異なる事が指摘されている。IRF8はマクロファージや単球系細胞に発現する転写因子であるが、どちらの細胞種に発現するIRF8が脊髄損傷の病態に影響を与えるのかは不明である。そのため、IRF8KOマウスにIRF8+/+-EGFP+骨髄を移植して [bone marrow (BM); IRF8+/+ -EGFP+]/[spinal cord; IRF8-/- -EGFP-] キメラマウスを作成した。このキメラマウスの損傷脊髄ではEGFP陽性/CD68陽性マクロファージが損傷部中心に向かって収束化した。このことは、脊髄損傷後のCD68陽性マクロファージの収束化には脊髄常在性ミクログリアではなく、末梢血由来のマクロファージにおけるIRF8が必要であることを示している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

IRF8ノックアウトマウス由来の骨髄細胞をWTマウスに骨髄移植する事で、脊髄損傷後の浸潤マクロファージとミクログリアに対するIRF8の作用の違いを明らかにする独自の解析系を立ち上げ、IRF8が脊髄損傷病態に与える影響を明らかにしている。

今後の研究の推進方策

今後はマクロファージの損傷中心部への遊走を促す因子の検索及び、その因子とIRF8の関わりを解明するための研究を予定している。更に、IRF8が脊髄損傷後の炎症収束化に与える影響に関しても洞察を深めるべく研究を進める予定である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2014

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (5件)

  • [雑誌論文] Acute hyperglycemia impairs functional improvement after spinal cord injury in mice and humans.2014

    • 著者名/発表者名
      Kobayakawa K, Kumamaru H, Saiwai H, Kubota K, Ohkawa Y, Kishimoto J, Yokota K, Ideta R, Shiba K, Tozaki-Saitoh H, Inoue K, Iwamoto Y, Okada S.
    • 雑誌名

      Science Translational Medincine

      巻: 6 ページ: 1-14

    • DOI

      10.1126/scitranslmed.3009430

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] アストロサイト初代培養におけるマイクログリア除去法の開発2014

    • 著者名/発表者名
      小早川 和、熊丸 浩仁、 岩本 幸英、岡田 誠司
    • 学会等名
      包括脳ネットワーク冬のシンポジウム
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2014-12-11 – 2014-12-13
  • [学会発表] Time-course RNA-Seqを用いた時空間的な網羅的遺伝子発現解析による脊髄損傷自然治癒メカニズムの解明2014

    • 著者名/発表者名
      小早川和, 岡田誠司, 大川恭行, 横田和也, 齋藤武恭, 原正光, 岩本幸英
    • 学会等名
      第29回日本整形外科学会基礎学術集会
    • 発表場所
      鹿児島
    • 年月日
      2014-10-09 – 2014-10-10
  • [学会発表] 末梢血由来単球細胞による脊髄損傷の組織修復メカニズム2014

    • 著者名/発表者名
      小早川和, 岡田誠司, 横田和也, 齋藤武恭, 原正光, 大川恭行, 岩本幸英
    • 学会等名
      第33回日本運動器移植・再生医学研究会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2014-09-27
  • [学会発表] 高血糖はミクログリアのNF-κBの過度な活性化を介して脊髄損傷後の二次損傷と機能予後を増悪させる2014

    • 著者名/発表者名
      小早川和、岡田誠司、久保田健介、横田和也、齋藤武恭、芝啓一郎、岩本幸英
    • 学会等名
      第49回日本脊髄障害医学会
    • 発表場所
      北海道
    • 年月日
      2014-09-11 – 2014-09-12
  • [学会発表] 転写因子IRF8に注目した網羅的ターゲット遺伝子同定による脊髄損傷の病態解明2014

    • 著者名/発表者名
      小早川和、横田和也、 岩本幸英、岡田誠司
    • 学会等名
      第15回運動器科学研究会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2014-09-05 – 2014-09-06

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公開日: 2016-06-01  

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