研究課題
マクロファージ自身の遊走能に影響を与えているのは、免疫染色の結果補体C5aの濃度勾配である事が分かった。安定的なC5aの濃度勾配を形成し、time lapse 位相差イメージングでマクロファージの遊走をリアルタイムに観察した結果、WTマクロファージは補体濃度が高い方向に向かって速く遊走するのに対し、IRF8-/-マクロファージは遊走スピードが著しく低下しており、補体濃度勾配中の遊走方向性も低下していた。IRF8-/-マクロファージのC5a濃度勾配中の走化性がWTよりも低下していた原因は、C5aに対する感受性の違いである可能性があったが、脊髄損傷前後のC5a受容体の遺伝子発現はIRF8-/-マウスとWT間で有意差がなかった。補体がマクロファージの遊走能を調節するもう一つのメカニズムとして、C5aの刺激によってautocrineされたATPと、ATPが加水分解されて産生されたADPが、プリン受容体を介するものがある。WTマウス損傷脊髄では種々のプリン受容体の遺伝子発現は脊髄損傷後に上昇するのに対し、IRF8-/-マウスの損傷脊髄では発現が有意に低下していて、損傷後の発現量増加も認めなかった。WTマウスにそれぞれIRF8+/+-EGFP+/+、もしくはIRF8-/--EGFP+/+マウス由来の細胞を骨髄移植したキメラマウスを作成し、脊髄損傷後にEGFP+/CD11b+/Ly6G-分画を末梢血からの浸潤マクロファージとしてFACSを用いて選択的に回収した。定量的qPCRの結果、WTマクロファージでは脊髄損傷後にプリン受容体の遺伝子発現が末梢血中の単球に比べて優位に上昇するのに対し、IRF8-/-マクロファージでは浸潤前の単球と比べて上昇せず、WTマクロファージよりも著しく低下していた。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Stem Cell Reports
巻: 11 ページ: 264-77
10.1016/j.stemcr.2015.06.004