平成27年度の研究実績は論文公表(3本)、学会報告(海外、1回)であった。それらにより、政治学、国際法学の先行研究が明らかにしてきたことを確認するとともに、それだけではEC・ASEAN関係の理解が不十分であることを証明した。第一に、1970年代後半には、西独の影響力だけでなく、EC域内大国のイギリス、フランスなどの影響力の相互作用の結果、ECのASEAN政策が決定されていったことを示したのである。第二に、アジア冷戦と南北問題がどのようにECのASEAN政策を規定したのか、について新たな知見を加えた。たしかに、南北間の交渉の停滞を打開する手段のひとつとしてASEANとのパートナーシップが期待されたことは明らかにされてきた。しかし、これらの要素は、部分的にしか検討されてこなかった。今年の研究成果では、南北問題のみならず、アジア冷戦がその背景要因にあったことを示した。 このように予定していた研究計画をおおむね遂行しながら、研究を行い、実績としている。
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