研究課題
平成26年度は、対象化合物であるブリンゾラミドのプロドラッグの合成と、合成したプロドラッグのナノ粒子化、さらに、プロドラッグナノ粒子の加水分解挙動の評価を行った。まず、3種類のブリンゾラミドプロドラッグの合成を行った。ブリンゾラミドプロドラッグは、予備検討で行ったコレステロール基を疎水性置換基として化学修飾したプロドラッグ(BC2)以外に、トリメチルロック(TML)と呼ばれる置換基、並びにジメチルロック(DML)と呼ばれる置換基を化学修飾したプロドラッグを合成した。次に、有機ナノ粒子作製法である再沈法により、合成したブリンゾラミドプロドラッグのナノ粒子化を行った。BC2に関しては、0.01%分散液を調製したところ、50-100 nm程度のナノ粒子が得られ、さらに、点眼薬として用いるために濃度を0.5%まで上げた場合でも、50-200 nm程度と良好なサイズのナノ粒子が得られ、界面活性剤を加えることで、分散安定性が担保された分散液が調製できた。TML-プロドラッグ、DML-プロドラッグも同様に、0.5%分散液で、50-200 nm程度のナノ粒子が生成し、界面活性剤を加えることで、分散安定性が良好な分散液が得られた。得られたブリンゾラミドプロドラッグナノ粒子の加水分解速度を、ラット前房水中で評価した。結果として、TML-プロドラッグナノ粒子は速やかに加水分解され、生理活性体であるブリンゾラミドが放出されることがわかった。一方、BC2ナノ粒子は加水分解が進行せず、DML-プロドラッグナノ粒子に関しては、TML-プロドラッグナノ粒子と比較し、加水分解が遅いことが明らかとなった。このことから、化学修飾する疎水性置換基の構造を変えることで、加水分解速度を制御できることが判明し、プロドラッグデザインの最適化を図る上で非常に重要なデータを得ることができた。
2: おおむね順調に進展している
当初の実施計画通り、ブリンゾラミドプロドラッグの合成とナノ粒子化に成功し、さらに、加水分解速度を評価することで、化学修飾する疎水性置換基の最適化を図ることができた。また、点眼薬へと応用する上で十分に濃い濃度の分散液(0.5%)を調製することができ、界面活性剤を添加することで分散安定性も確保できた。
実施計画通り進行しているため、今後は東北大学大学院医学系研究科の先生方と綿密な連携を組んで、点眼薬の薬効評価を迅速に行っていく。
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