研究課題
偏西風が蛇行し,移動性高低気圧が停滞するブロッキング現象は,多くの水文気象による極端現象に対し,大規模場から影響を与える.温暖化が十分進行した将来気候の予測計算において,その発生位置はやや北東にずれる事が既往研究により示されたが,これと日本の極端現象との関連を述べた研究は少ない.本研究では,IPCCの評価報告書に用いられた最新の将来予測結果におけるブロッキング発生位置の変化が,日本周辺の気温偏差に与える影響を解明した.また,温帯低気圧の発達によりブロッキングが形成・維持される機構が既存の研究により示されたが,本研究では高潮や強風,豪雨豪雪災害を考慮し,爆弾低気圧の停滞性・強度と,ブロッキングの位置および形状の関係について統計的な知見を得た.さらに,2016年8月に北海道に連続して襲来した台風による豪雨事例では,偏西風の異常な蛇行が観察された.本州の太平洋沖を北上する台風は,勢力を維持したまま北海道に接近しやすいが,このような台風経路が形成されやすい大気場のパターンを抽出した.上述の解析も含むブロッキングの事例・統計解析は,ブロッキングインデックスにより定量化される.このブロッキングインデックスは,ある経度における大気中上層の南北気圧勾配,または温位勾配の逆転により定義され,この勾配の程度により強度が,逆転した日数により継続期間が経験的に定義される.本研究では,偏西風の有するエネルギーの観点からより物理的にブロッキングを定義する研究を行った.Rossbyにより提案されたジェット気流を開水路流れに見立ててエネルギーを定量化する理論を現実大気に拡張させ,ブロッキングに代表される蛇行した偏西風が発生するための,エネルギーの必要条件を解明した.既往研究が示すブロッキングの定義に対して,ジェット気流が有するエネルギーという観点から物理的な意味を提示することに成功した.
28年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (12件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 5件、 謝辞記載あり 7件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 5件)
土木学会論文集B1(水工学)
巻: 73(4) ページ: I_439~I_444
巻: 73(4) ページ: I_1231~I_1236
土木学会論文集G特別号(地球環境研究論文集)
巻: 72(5) ページ: I_439~I_444
日本気象学会機関誌「天気」
巻: 63(7) ページ: 5~25
Procedia Engineering, 12th International Conference on Hydroinformatics, HIC 2016
巻: 154 ページ: 726~732
Atmospheric Science Letters
巻: 17 ページ: 616~622
10/1002/asl.711
応用力学会アブストラクト
巻: - ページ: -
日本気象学会2016年度秋季大会講演要項集
巻: 110 ページ: 166~166
Abstract (European Geosciences Union 2016)
Abstract (JpGU (Japan Geoscience Union) 2016)
Abstract (AOGS (Asia Oceania Geoscience Society) 2016)