研究課題/領域番号 |
14J01591
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
前田 恵理 東京大学, 医学系研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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キーワード | 小児慢性疾患医療費助成事業 / 不妊に悩む方への特定治療費支援事業 |
研究実績の概要 |
【経済的支援が成長ホルモン分泌不全性低身長症の治療に与える影響】 経済的支援が成長ホルモン分泌不全性低身長症治療に与える影響について症例データベースを用いて検討した。2001~2013年に小児慢性疾患医療費助成における終了基準身長に初めて到達した696名の患者について、経済的支援の有無、性別、年齢、身長SD値、身長増加率、骨年齢、有害事象の有無と、治療の継続との関連を分析した。助成終了基準身長に到達後も治療を継続した者の割合は経済的支援のある患者で高かった(75.9% vs 52.0%, P < 0.001)。臨床的・その他の要因について多重ロジスティック回帰分析を用いて調整すると、経済的支援の治療継続に対するオッズ比は男子4.04 (95% CI:1.86-8.78)、女子1.72 (95% CI: 0.80-3.70)であった。 【妊孕性知識の啓発を通じた、特定不妊治療費助成制度の効果的運用】 不妊に悩む方への特定治療費支援事業では早期治療のインセンティブとなるよう年齢要件を伴った制度改正が行われたが、制度の効果的運用には妊孕性知識を普及啓発し計画的なライフプランや早期受診を促す必要がある。 (1) 我が国の18歳から59歳までの一般男女4946名の妊孕性知識を測定したところ先進国の平均より低かった。知識に影響する因子を重回帰分析で検討すると妊娠・出産への関心や健康関連スキルの高い者で知識も高かった。妊孕性知識の低い者もinformed decision makingができるよう、学校教育や地域社会を通じた啓発が必要である。 (2) 35歳から44歳までの子供のいる男女690名について、初産年齢と10年以上前からの妊孕性知識との関連を重回帰分析で検討したところ10年以上前から知識があった女性で初産年齢は2.3歳若く、知識の啓発を通じ不妊症を予防できる可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概ね当初の計画通り、データの入手と解析が実施できている。
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今後の研究の推進方策 |
不妊に悩む方への特定治療費支援事業では、2014年4月より段階的に対象範囲や助成回数の改正が行われている。制度改正が我が国の不妊治療に与える影響について、自治体及び日本産科婦人科学会のデータを用いて検討する。
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